厄介な敷地境界上の共有既存ブロック塀

ユーザー 三浦尚人建築設計工房 三浦尚人 の写真

通常、隣地との敷地境界にはブロック塀や数段のブロックの上に設置された

フェンスなどがあります。

それらが自身の敷地内にあればその所有者は自分達となり、隣地側であれば

隣地の方の所有となりますが、それらの塀やフェンスが両者の敷地境界線上にあり、

両者による共有所有の場合には、少々厄介な話が出てくるケースがあります。

改正建築基準法が施行された2007年以降、1.2メートルの高さを超える既存

ブロック塀は、その強度がわかる資料を建築確認申請時に添付しなければいけない

ケースが多くなってきました。

もし、その資料が無い場合には、構造補強や造り直す必要が出てきます。

建築基準法が改正されて以降に造られたブロック塀については、この法律

(建築基準法施行令62条の8など)に従って造られているので問題ありませんが、

古くからあるブロック塀については強度がわかる資料なんて残っていないのが

ほとんどでしょう。

実際に私の設計事務所も昨年に設計監理した住宅の建築確認申請の事前相談時に

上記の指摘を民間確認検査機関から受け困惑しました。

この住宅の東側には高さ1.8メートルの既存ブロック塀があり、もちろん強度がわかる

ような資料は残っていなかったため、早速建築主にこの話をして、ブロック塀の共有者

である隣地の所有者に対して既存ブロック塀を撤去して新たに改正建築基準法に沿った

塀を設置してその工事費用を折半してほしい旨を話し、構造強度が明確でない既存塀だと、

地震発生時に倒壊する恐れがあり危険だということも説明しましたが、どうしても承諾して

もらえませんでした。

結局、この話を民間確認検査機関に相談してアドバイスに従い、どうにか確認申請を受けて

もらったという経緯がありました。

したがって、このように敷地境界線上に1.2メートルを超える古い共有ブロック塀がある土地

での建築を考えていらっしゃる方は、この点に注意する必要があります。