土地選びの失敗例

ユーザー 芦田成人 建築設計事務所 蘆田 成人 の写真

何ともシビアなお題ですが、我々が土地選びから関わるなら、このようにならない土地をお勧めします。
とは言え、地中の中のことまでが購入前から分かる訳ではありませんので、失敗の確率をより低くする事が我々の仕事と言えます。

もっとも、土地は周囲の地形や過去の履歴などからある程度予想できるようにもなっていますし、地盤調査会社などがプレ診断と言うサービスも行っていますので、上手に活用されることをお勧めします。

具体的な例では、不動産業者とのやり取りの段階で、いじわるされ目当ての土地が手に入らなかったり、擁壁が崩れそうな土地を勧められたりと言った例があります。

前者は不動産業者が売り手、買い手両方から利益を得るために、扱っている物件を他社に仲介されないように、商談中と偽り、他社仲介のお客さんの手に渡らないようにする事が目的で発生する不動産業界独特の悪い慣例です。

又後者の場合、一般の方々には中々見分けが付き難いのですが、少し遠目から土地を観察してみると高低差の大きな敷地では起こり得るケースです。擁壁が誰の所有になるのか、擁壁の下に他人の土地や家が建っていないか、よく注意してみて下さい。もしそんな土地を購入してしまった場合、擁壁が崩れ下の他人地に損害を与えた場合の責任は、その土地所有者に求められることとなります。高台に土地を求められる場合は特にこのようなケースにはお気を付け下さい。

他には、近くに大きな河川がある場合、水面よりも低い土地では河川が増水し堤防などが決壊してしまえばたちまち、床下、又は床上浸水なんて事がおこるかもしれません。行政のハザードマップなども十分に活用し土地選びをしましょう。近年の異常気象によって、そのようなケースはまだまだ増えてくることでしょう。

私共にご依頼頂いた方のケースでは、既に土地を手に入れられた後での設計のご依頼でしたが、土地の周りが田んぼで三方を水路に囲まれているために、土地購入の数年前に土地自体が浸水した履歴をご存知の上で手に入れられたケースがありました。そのような履歴が判明していましたので、新築時の対策として高基礎とし、床高を地盤面よりも1.0mの高さにしました。その後又、豪雨被害に遭ったのですが床下浸水で済みました。もし床上まで浸水してしまうと土台や柱にまで被害が及んでしまいます。

床上と床下、僅かな差に見えますが被害額で勘定すると大きく違います。
土地によるリスクは履歴や周囲などじっくり調べた上で減らす又は避ける事が出来ます。土地選びの段階から不動産屋ではなく、建てる側のプロにサポートして貰うことが失敗を減らす方法でもあります。

写真は候補地の一つの擁壁下の土地でしたが、古い擁壁の所々に亀裂が見受けられたこと、擁壁の構造自体がこの高さを負担するには無理があることなど、危険な状態でしたので購入を見送るようにアドバイスさせて頂きました。