傾斜地の別荘

ユーザー ❨株❩アトリエ Y&R 栗城裕一 の写真

傾斜地の別荘というお題を頂戴しましたので、ちょっと書きます。
私は、こういう建築は作ったことがないのですが、傾斜地の別荘ということで真っ先に思い浮かべるのは、フランク・ロイド・ライト(1867~1959)というアメリカの建築家が1936年にエドガー・カウフマン氏の依頼で作った別荘です。これは川の上に張り出した住宅でとても魅力的なものです。過去の大建築家と言われる人の住宅作品の中には傾斜地のものはあまり見当たりません。この落水荘と呼ばれる別荘は、そういう意味でも特別に有名なものと思います。
傾斜地に別荘というのは、まず眺望を獲得するためにそういう土地を求め、そこに大体が2階建て以上のものをつくるということが多いと思います。眺望を求めるのですから、2階にリビングのようなパブリックな部分をつくり、寝室は下階というものが多いでしょう。道路が低い方にあるか、高い方にあるかでだいぶ様子が変わると思いますが、眺望を求めるのですから大体は上の階に昼間のスペースということになり、リビングやダイニングなどがつくられるということであろうと思います。で、その構造は下がRCで上が木造というのが多いと思います。もちろん、すべて木造ということもできましょうが、基礎や土に接する部分になったりすることもあるので、下がRCというものが多くなります。高い方に道路があると、アプローチが2階部分になりますが、道路から見ると平屋のように見える建物になります。これも素敵なものです。別荘地ですと木々が背の高いものが多いですから、2階のリビングからその梢が見え隠れして、遠くに素敵な景観が広がるという情景が浮かびます。陽が落ちると室内の明かりが窓ガラスに映って景色が見えにくいということが起きますから、工夫が必要です。ガラスを傾けるという方法もありますが…。
このように特別な想いでつくる住宅ですが、傾斜地の建築はコストがかかるということは考えておかなければなりません。