デザイナーズマンション

ユーザー ❨株❩アトリエ Y&R 栗城裕一 の写真

 デザイナーズマンション? いやな言葉です。今回は、これについて考えてみたいと思います。
おそらく、不動産屋さんが売りたくて、貸したくて、無い知恵?(失礼しました)を絞って考えだした言葉だと思うのですが、一般の方々にはおそらく、コンクリート打ち放しの建物で、内部はあまり仕切られていなくて、収納が少ないかも?などといったイメージを持たれていらっしゃるのではないでしょうか。
 そもそも、デザイナーとはなんぞやなのでして、設計することはデザインすることなので、そういう意味ではすべてのマンションがデザイナーズマンションということになってしまいますので、とりあえず、デザイナーの定義などは無視してネーミングされているものだと思います。つまり、不動産屋さんが自分の意思で名付けた物件がデザイナーズマンションだといえるのではないでしょうか。
 賃貸物件なども他との差別化が求められていて、そこにこのようなネーミングでお客様を引き付けようということなのでしょう。
 優秀な設計者によって設計されたものは、生活のことも考えられて、一般的なものとはちょっと違った空間づくりによって目新しさも獲得しているものがあるようですが、外観から作り上げて内部はそれに無理やり押し込んだプランになっているというものもあるようです。
 こういう物件は、生活に生臭さを許容することを嫌う人たちや、自宅での滞在時間がそれほど多くないといった職業の人、あるいはとりあえずカッコよさを求めたいといった人たちには喜ばれるものかもしれませんが、このようなものは長い時間に耐えられるということは期待できないと考えます。その時のトレンドを優先したものや、人間の普遍的な心の動きなどを考慮していないものは、一時はいいのでしょうが、じきに飽きられたり、廃れたりといった憂き目にあいそうです。
 生活を考え、暮らし方を想像して気持ちの良い空間を作ることがなにより優先されるべきでしょうし、そのようなものはより長い時間にも耐えられるのではないでしょうか。