床下暖房の仕組み

ユーザー 青井俊季建築設計事務所 青井 俊季 の写真

床下暖房(=床暖房)の仕組にはいくつかの種類があります。
床面の温度により、大きくは高温式と低温式があり、高温式の方は床面温度が40℃以上になるため、床面に触れると熱い感覚がわかります。温度が高い分、部屋の面積の6割程度の面積に加温面を設置すれば効果がありますが、無垢のフローリングなどは、高温床暖房対応の材料を選ぶ必要があります。

一方、低温式の方は床面温度を25℃~30℃程度に保つ方式で、床面に触れても「温かい」というよりも「冷たくない」という感じがします。温度が低い分、なるべく部屋の面積全体に、加温面をつくるのが効果的で、「暖かい」というよりも「寒くない」環境をつくると快適に過ごせます。

私がいつも採用しているのは低温式の床暖房で、できるだけ家全体に加温面を設けて、寒くない室内環境をつくるように設計しています。

もう一つの分類としては、熱源の違いによるものです。
一般的にはガス給湯器や電気温水器を用いて温水を作り、樹脂配管や配管を仕組んだパネルを床下に設置して、温水を流して加温する、温水床暖房があります。
また、電気のパネル状のヒーターを床下に設置する床暖房、さらには太陽エネルギーを利用して、作った温水や温風を使って、床面を加温したり、床下空間に温風を流して床面を温める方式などもあります。

また、床下に蓄熱槽を設けることが出来れば、それをコストの安い深夜電力や昼間の太陽光を使って蓄熱し、より効率的に24時間暖房を行うことも可能です。

私の事務所兼住宅で採用しているのは、深夜電力を利用してヒートポンプ式熱源機で作った温水を使って、厚めに設計したべた基礎を蓄熱槽として利用する、温水床暖房です。
写真は、べた基礎の配筋の上に、架橋ポリエチレン管を設置している写真です。
この方式は、深夜の4時間から8時間程度、熱源機を運転して温水を回し、基礎のコンクリートを温めるだけで、ほぼ24時間、家全体を寒くない状態に保つことができます。
床面からの輻射熱のため、気温が低めでも寒く感じないという、頭寒足熱の快適な環境です。