間口の狭い家について

ユーザー 三浦尚人建築設計工房 三浦尚人 の写真

間口の狭い家と聞いてまず頭に浮かぶのが、たぶん京町家を代表されるいわゆる鰻の寝床と呼ばれる間口が狭くて奥行きの長い職住一体の建物だと思います。 

このような間口が狭くて奥行きが長い住宅の場合、1階部分にどのようにして採光と風通しを確保するか、という問題がありますが、これは京町家で見受けられるような小さな中庭(坪庭や奥庭)などを設けて、そこから光と風を取り込む手法が有効な解決策です。 

しかし、現代における住宅地では、京町家のように隣家とピッタリくっ付けて建設することはほぼ不可能で、民法上敷地境界から50センチ以上離さなければなりません。 

また、建物自体も間口は最低2間(3メートル64センチ)必要なので、外壁の厚さも含めるとトータルの間口(接道長さ)は、5メートル程度は欲しいところです。 

そこで、設計を進めるうえで考えなければいけないのが、玄関とカーポートです。 

カーポート1台分の広さは、間口2.5メートルに奥行き5メートル必要なので、結構なスペースを有します。 

したがって、駐車スペースの有無によって、設計は大きく変わってきます。 

京町家も道路に面して駐車スペースが無く、格子や犬矢来、軒などの意匠により建物を引き立てているから美しいとも言えます。 

また、玄関廻りのデザインも重要で、間口が狭いゆえ道路側から見える外観(ファサード)は横(幅)よりも縦(高さ)が長いので、このことも考慮に入れて設計する必要があるのではないでしょうか。