離れの増築

ユーザー ARKSTUDIO一級建築士事務所 茶之木宏次+羽木みどり の写真

築100年以上の古民家にお住まいのご高齢のTさんご夫婦。
以前、その古民家のお風呂と洗面室を改装しましたが、建物の柱と梁を接続するホゾ部分が地震で緩んでおり、地震が来るたびに、建物の揺れに不安を覚えながら暮らしておられました。
一度はその古民家の耐震改修を考えられましたが、かなりの費用が掛かかります。そこで、日常使わない部屋が多く、お二人暮らしには広すぎる古民家全体を耐震改修するより、お二人の暮らしに必要な部屋だけを母屋の隣に増築して、ご夫婦の日常生活が安全で快適になるように離れを増築することになりました。

増築部は玄関を新しく作り、玄関ホールの周りに、メインの生活の場としてのリビングとダイニングキッチンのワンルーム空間、トイレ、洗面、そして寝室、母屋に通じる渡り廊下に繋がる勝手口を作りました。
お風呂は以前リフォームした古民家の桧のお風呂を気に入っておられたので、寝室の横の勝手口から渡り廊下を通ってすぐのところにあるお風呂を使っておられます。
(将来、寝室の横にお風呂を作れるようにスペースは確保してあります)

また、古民家部分は親せきの方の宿泊や、法事に今でも使っておられます。

増築棟は高断熱住宅として、断熱性能も高め、日常の動線を考えた機能的な空間にしました。
また、今までは客間の座敷からしか眺められなかった庭ですが、新しい日常空間にはその庭に面した大きな掃き出しの木製サッシを付け、緑に囲まれた癒しの空間としました。
母屋の離れとして快適な新しい生活の場となりました。

そして、今までの、冬の寒さや薄暗い生活空間が解消され、冬は暖かく夏は涼しく、庭に向かった大きな開口部からの庭の緑と隣の神社の大きな楠木を高窓から楽しみながら快適に暮らしておられます。