間取り図の描き方について
私が日頃描いている間取りは、敷地図を描くことからはじまります。
いくら良い間取りが出来ても、敷地図からはみ出てしまっては、どうしようもないからです。
さらには、建ぺい率や容積率なども念頭に入れておかなければいけません。
敷地図と合わせて重要なのが、方位と道路です。
真北がどちらの方角か?道路は敷地に対してどこに面していて、幅員はどのくらいか?
以上のことを把握することは、間取りを描く前におこなう大切で最低限の内容です。
さらに、敷地の隣地に建っている建物や庭、樹木、駐車スペースといった周囲の状況を確認し、敷地図にあらかじめ書き込んでおくと良いでしょう。
さて、ここまでが間取り図(縮尺1/100)を描く前の準備です。本題に入りましょう。
私の場合、隣地境界からそれぞれ500ミリ以上(民法による)離したところから910ミリピッチでグリッド線を縦横引いていきます。(縮尺1/100では、それぞれ5ミリ、9.1ミリになります。)
ただし、北側斜線(高度地区)がある地域や風致地区などにより壁面後退が必要な地域があるので、隣地境界からの距離は十分注意が必要です。
また、何故910ミリピッチのグリッド線を引くのかというと、日本における木造建築では尺貫法が用いられており、建築で利用される合板や石膏ボードも1枚の大きさが3尺×6尺(910ミリ×1820ミリ)の大きさを基準に製作させていて、ユニットバス、システムキッチン、洗面化粧台、ドア、引戸などあらゆるもののサイズがこの尺貫法に基づいて決められています。
したがって、910ミリ×1820ミリに当たる2マスは、畳一枚分つまり1帖ということになります。
間取りにおいては、入隅や出隅といった角には柱が通常入り、2階建てでは上下階とも柱が揃っているほうが良いでしょう。壁の位置も出来るだけ上下階同じところにあるほうが構造上安定します。
とここまで長々と書いてしまいましたが、住宅をはじめとする建築物というものは、三次元の立体物であり、間取りだけをいくら作ってもそれは、簡略化した平面図みたいな絵程度にしかすぎず、間取り図だけでは決して住宅は出来ませんので、このことだけはきちんと述べておきます。
私の事務所へご相談にお見えになるお客様の中で、ご自分で間取り(らしき絵)を描いていらっしゃる方がたまにお見えになります。
一応間取りの説明は伺いますが、間取り図といえどもそんな簡単に描けるわけではありません。
そのために、私たちのような一級建築士がいるのですから。