今回のお題 「ビルの設計」

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お題 「ビルの設計」 2022.09.05掲載テーマ

 一口にビルといっても、さまざまな用途・形態が考えられる。
企業の自社ビル(オフィス系・ショールーム系)、テナントビル(オフィス系・店舗系・複合系)、複合用途ビル(店舗・住居・ホテル)といったところが一般的に「ビル」といわれる建築物であろう。
 ここでは、企業の自社ビルに用途を絞って論じたいと思う。
企業が社屋を建設する場合、新築か建替えが考えられるがそのいずれも、企業戦略により
方向性が決まるものである。
 現在の社屋が老朽化し、手狭になり、非効率となったため建替えるというのが一般的と思わる。
現在建築界で建替えにより話題となっている東京・丸の内の「東京海上 本社ビル」は日本建築界の巨匠、前川国男氏の設計(1974竣工)によるものであるが、近代建築の保存と再開発のあり方を考える重要な事例となっている。
 現・東京海上日動火災保険(株)は「次の50年、100年に亘って、より一層進化するグループの中心であり続けるため国産木材を利用したビルの建設し、サステナブルな社会に貢献する象徴的な存在を目指す。」との戦略を発表した。(2022.08.01)
 ここでは、歴史的な価値ある建築物を解体することの是非はともかくとして、このようにクライアントが明確な企業イメージ戦略を打ち出し、建設するビルとともに企業の発展を目指しており、我々建築家はそれにこたえるべく努力しなければならないわけである。
 この事例からわかるように、「建築で企業イメージを表現する」ことが最もビルの設計で重要なことであり、クライアントから最も求められていることであると思う。

 設計事例として、私の手掛けたビルを掲載いたします。
(某自動車メーカーディーラーの自社ビル、1F~3Fまでショールーム、4F~11F自社オフィス)
この事例では、建築の先進的なデザインにより、クルマと企業の発展性を表現し、また建築の透明性によりクリーンな企業イメージを表現しています。