建築家住宅の外観
住宅地を歩いていると、ふと足を止める時があります。
それはちょっと気になる住宅建築を見つけた時で、古い洋風や和風の住宅ももちろんですが、現代の住宅の場合でも足を止めます。
外観というのは、「家の顔」でもあるのです。
それら足を止める現代の住宅のほとんどが、おそらく建築家が設計した住宅ではないかと思います。
その理由は、建築家住宅の外観に共通する特徴があるからです。
まず、一つ目の特徴として建築家住宅の外観は全体の姿(プロポーション)が良く、高さ(軒高)がグッと抑えられていることが言えます。
特に住宅地に最も適している第一種低層住居専用地域では、北側斜線制限(第一種高度地区)が厳しく、高さを抑えないと斜線制限に引っ掛かってしまい、斜線制限からはみ出した住宅の一部や屋根や建物の一部を斜めに削らざるを得なくなり、その結果住宅全体の姿が美しいとは言い難くなってしまいます。
屋根形状についても、切妻屋根、寄棟屋根、片流れ屋根、陸屋根など様々ありますが、間口、奥行き、間取り、斜線制限、周辺環境などを考慮し、検討を重ねた結果により住宅の姿である外観が出来上がるので、ハウスメーカーや建売住宅とはデザイン過程そのものが異なります。
そのほかに建築家住宅の外観の特徴として、窓(開口部)が限りなく少ないか、あるいは全面ガラス張りとか極端な傾向があると思います。
さらに、建築家が設計する住宅は外壁材についても素材そのものを重要視するという特徴があり、コンクリート打ち放しをはじめ石貼り、板張り、ガルバリウム鋼板張り、左官仕上げなどといった素材そのものが持つ質感を大事にします。
したがって、乾式工法でよく使われるセメント系サイディング材の○○風や△△調といった本物に似せたいわゆるフェイクの建材を使うことはおそらく皆無ではないでしょうか。