住宅密集地の日当たりをよくする工夫

ユーザー 三浦尚人建築設計工房 三浦尚人 の写真

住宅密集地では隣家が接近しているため、外壁面に大きな開口部(窓)を設置しても日の光を屋内に取り込むことが難しく、日当たりを良くするためにはいくつか工夫が必要です。
ひとつはプランによる工夫で、もうひとつは開口部の位置と大きさによる工夫です。

まず、プランによる工夫ですが、日当たりを必要とするスペースは家族が集うリビング・ダイニングでしょうから、このスペースを空に近い2階へ持ってくるということも一つの解決法です。
それほど日当たりを必要としない寝室などのプライベートスペースや浴室・洗面室・トイレといった水周りや納戸・収納スペースを1階に配置することにより、1階の階高を低く抑えることができ、2階リビングの上部を吹き抜けにすることで高い位置から日の光を取り込み、内部空間の奥まで明るくすることが可能となります。

また、住宅密集地といえども建ぺい率によって敷地目一杯に建てることは不可能なので、空いた屋外スペースを道路側や東側、南側に確保したプランにすることで、日当たりをよくすることも出来ます。つまり、道路境界と隣地境界から距離を取った外部空間(庭、デッキテラス等)を設けるということです。

もうひとつの開口部の位置と大きさですが、まず日当たりをよくする手段としてトップライト(天窓)を設けることでしょう。
遮るものが無い空へ向けた位置(屋根・天井)に設けた窓なので、とても効果的です。
外壁面に設ける窓も東側や南側に向けることで、日当たりをよくすることが出来ます。

ただし、日当たりをよくしたいという理由だけで南側に大きな窓や天窓を設けることはお勧めしません。
日当たりということは直射日光を意味し、寒い冬の時期の直射日光はポカポカして嬉しいですが、夏の時期での直射日光は強烈に暑く、むしろ日当たりを避けるべきなので、庇を付けたり、ブラインドを取り付けるなどして夏場の対策を考慮することも重要です。