中に入ると開放感や広がりが感じられる幼稚園・プライム一級建築士事務所 西島正樹さん
幼稚園は、周囲の町に対しては、しっかりと内側が守られつつ、中に入ると開放感や広がりが感じられることが大切です
幼稚園についてプライム一級建築士事務所 西島正樹さんに伺いました。
貴社が幼稚園を手がけるようになったきっかけがありましたら教えて下さい。
最初に幼稚園を設計したのは、大阪で、教会所属の小さな園でした。
きっかけは、神戸で教会堂の設計競技に最優秀となったことをこの園の方が聞き、ご連絡いただいたことからはじまりました。
幼稚園設計の際に注意しているポイントをいくつか教えてください。
1. 外部と内部の関係
まず、幼稚園は、周囲の町に対しては、しっかりと内側が守られつつ、中に入ると開放感や広がりが感じられることが大切です。
外と中との関係でいうと、保護者との子どもの受け渡し位置はどこか、上下足は、どこで行うか、園全体で集中した玄関を設けるか、各保育室前で履き替えるか、等、園の考えを確認し、しっかりと空間に落とし込むことが大切です。
2. 平面計画
子どもは幼稚園ではじめて、家から出て、大きな空間ですごすことになりますから、まず、確かに自分は守られているという安心感が感じられることが大切です。
また日々成長し、新しい世界へと思いを広げていく子どもの心と呼応して、広がりの感じられるような空間が求められると思います。
また、衛生面での配慮が必要です。
たとえば、採光については、幼稚園は午前を中心に使われる施設なので、南または東からの自然光をうまく取り入れられるように配置にします。
また、良好な通風が得られるような工夫も大切です。
3. 子どもの空間ならではの注意点
子どもの身長をしっかりと把握し、たとえば天井高や階段のサイズなど、子どもの目線や体格に合った空間にする必要があります。
また、多数の子どもを限られた人数の保育士でみる必要があり、少しでも子どもがけがをしそうな部分があると、保育士の精神的な負担は非常に大きくなります。
結果としていい保育が出来なくなりますので、安全であることはもちろんのこと、安全と感じられる建築にすることが大切です。
近隣の幼稚園と差別化するためになにか心がけていることはありますか?
特に差別化するという意識は持っていません。
敷地の環境を観察し、園の保育方針をお聞きし、実際に保育している様子を拝見し、もっともその場にふさわしい幼稚園の建築を実現していこうと、いつも考えています。
その結果、自ずと、そこにしかない園が完成するのだと思います。
幼稚園の園舎にはなにか基準があるのでしょうか?
建築基準法を守るとともに、「幼稚園設置基準」という文部科学の省令に則る必要があります。
認定こども園とは何ですか?
これまでは、小学校就学前の子どもについては、幼稚園と保育所という2つの施設の流れがありました。
幼稚園は3歳から5歳までのこどもを対象に、教育的な面を重視してきました。
保育所は0歳から5歳までにわたる子どもを預かり、保育に重点を置いてきました。
認定こども園というのは、その2つを総合的にまかない、さらに、保護者に対する子育て支援も行ううという目的のもと、新たに法的に位置づけられた施設をさします。
補助金申請の手続きなども手伝っていただけるのですか?
建築に関わる部分はお手伝いします。
ただ、園の運営や財務状況等、法人の内情に深く関わる情報もあるため、その部分は、法人の方で進めて頂いています。
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