鴛野の家(店舗併用住宅)
傾斜地と言うよりは、崖地に建つ家といった方が良いかも知れません。ここにたどり着くまでは試行錯誤、費用を第一優先し、現況の擁壁もそのまま、段差を利用して、3階建ての木造計画にしました。木造と言っても、3階部分は人工地盤(鉄筋コンクリート)の上に店舗(接骨院)を計画し、2階をその人工地盤の中(下)に取り込み、併用する店舗とは半屋外の鉄骨螺旋階段でつないでいます。構造は木造、鉄筋コンクリート造、鉄骨造の混構造になります。正直、わざわざこのような敷地に計画しなくてもと思ったのですが、そこが施主のたっての要望であり、拘ったところです。3階からも1階からも独立してアプローチ出来るので、店舗と住宅の導線が都合良く分離出来て、良かったのかなと思っています。
2016年6月竣工。併用住宅ですが、難易度高い物件でしたが、その分楽しませて貰いました。
敷地斜面が西側に向いているので、その日除け対策と眺望と言った、理にかなわない要望、そして他では類を見ない外観意匠デザイン。3階店舗(接骨院)の設計経験を生かしたアドバイス。通風・採光を考慮した内部空間構成などなど、多種多様な悩みと要望、そして拘りを持っておられました。
設計経験による押しつけも無く、一緒に悩み、工夫しながら適切なアドバイスしてくれた。わがままに応えてくれ、楽しく進めることが出来た。手法をこらし、分かり易くプレゼンテーションをしてくれた。と言う事らしいです。
本物件は設計だけでも1年以上かかりました。基本設計も固まり、実施設計にかかっていたものの、依頼者の都合による大幅な計画変更にも都合を察し、常に依頼者と同じ視線で悩み考え模索してきました。長期優良住宅・省令準耐火・省エネ・健康住宅・バリアフリー等、住宅の性能評価に関わる内容は、私の得意とするところですが、それらのメリット・ディメリット、費用対効果も説明し、それらを適材適所に採用しています。
押しつけがましくなく、自分のわがままを聞き、生かしてくれた。時間はかかったが、度重なる変更にも文句なく付き合ってくれた。満足しています。
幾度となくシミュレーションを繰り返し、最後の外観色決め時のCGである。
シミュレーションと同じ位置からの竣工写真。
工事中の施工状況ブログを公開していました。
http://avenir-sekkei.cocolog-nifty.com/data/
1階の北側、広い玄関ホールは、趣味・アトリエ室も兼ねる。
階段左側は、地下倉庫の室内側入口。
LDK+南側座敷。
省令準耐火仕様による壁仕上げは漆喰仕上げ、天井は杉羽目板貼り(下地に石膏ボード)
LDK北側
3mを超える斜め天井は小屋裏まで吹き抜かせ、トップライトを設置している。
表皮計算で省エネ等級4を確認・確保している。
由布・鶴見・高崎山、そして南大分一体を望む眺望を満喫するため、西側に広いバルコニーを設置している。
そこは夏の強い西日を遮るために、長く低く抑えた片持ち庇で制御している。
真っ赤に染まる夏の夕焼けも格別の味わいがある。