M's(満室続けるアパート)
築40年ほどのアパートを建替え、独身の社会人を対象とした木造アパートを計画。
今までの単身者用賃貸は、「いかに賃料を稼ぐか」の装置でしかなく、「住んでみたい」と思うようなものはなかなかない。まして木造アパートでは。。
木造アパートであっても、誰でも、「自分らしく住みたい」と思う。
その思いを実現するために計画が始まった。
1住戸は、約21.6m2でワンルーム。ありがちなワンルームのプランではなく、キッチン、浴室、洗面、トイレの水関係の領域と居室の部分をはっきりと分けたプランとした。
どうしても雑然としてしまうキッチン部分や洗面脱衣部分を隠すことができ、帰宅時に気持ちよく部屋に入ることができる。また、領域をわけた結果、居室の間口は約2.1mとなるが、奥行きは約6mあり、決して狭さを感じない。南北に窓があり室内の空気がこもることもない。細長い部屋である事が、家具のレイアウトがしやすく、住人の個性的な住い方が可能。
築年数が古く、かつ4戸しかないので、収益面でも悪くなっていたので、建替えを考えていた。
依頼は、アパートの監理をしている不動産屋さんからで、単身者用ワンルームを基本として、収益性のあるものに建替える事を希望。
場所は東京都内の私鉄沿線で都心に近く、私大もあり、アパートは周辺にも多くあった。この計画では、対象に学生は入れず、単身者または夫婦の社会人とした。いわゆる「木造アパート」のようなたたずまいではなく、もう少し洗練された建物として価値を作り、また、「自転車が無造作におかれている」雑然とした状況を無くすために、1住戸分を削り駐輪場とした。住戸プランも住む人の「こんなふうだったらいいな」をふまえたものとした。(統計をとっていた)築後8年までは満室を維持した人気物件となった。
外壁:ガルバリュウム鋼板波板 一部サイディング
屋根:ガルバリュウム鋼板
アパートのエントランス。格子部分の中は駐輪場。
駐輪場
外部廊下および階段
ワンルームタイプ住戸(バルコニー方向)
ワンルームタイプ住戸(玄関方向)
写真で見える収納は可動式。住人の好きなように室内を移動する事ができ、部屋の使い方に自由性を与えた。写真左側に水場関係を集め、雑然となる部分と部屋をはっきりと分けたプランとした。