HO邸リノベーション

●設計事例の所在地: 
広島県廿日市市
●面積(坪): 
141.42㎡(42.78坪)
●建物の種類(大分類): 
住宅関連
●メインの画像: 
●メイン画像の説明文: 

35年前に建てられた木造住宅。子世代へと引き継がれたいま、既存プランと生活スタイルの不整合を整理して“いま” と” これから” の暮らしにあわせてリノベーションしました。
普段使いしない和室と縁側が大きな面積を占めバラバラとなっていた室。光が差込む階段を中心にした回遊動線によって繋ぎました。また、快適な居住環境を断熱性能の向上と自然採光・通風を可能にするハイサイドライトの導入により実現しました。

建てる前に依頼者が悩んでいた事・ご希望: 

建築主様からの要望はシンプルでした。
「夏暑くて冬寒い家を何とかしたい」
「これから大きくなる子と年老いる親が幸せに快適に暮らせる家としたい」
その要望をベースに計画をより具現化していくために、まず現状の住宅の問題点を整理しました。
①予測できない将来の家族構成と暮らし方
親・子・孫のみならず、親兄弟との同居の可能性や親せきの来訪などに対応する柔軟性の高い計画が必要
②物の多さ。収納空間の確保と合理化
広さは充分だが奥行が深くて何があるのかわからない収納。使われていない室にあふれた物。適切な大きさの収納を使いやすい位置に設置することが必要
③使われていない庭。意識できない庭と内部空間の関係性
目に見えないがために誰も気に留めない庭の木々。生活スペースと庭を近接させて外部を常に意識できる空間構成が必要
④機械に頼らない快適な居住空間の確保
夏は熱気が溜まり暑く、冬は底冷えして寒い家。機械でなく自然エネルギーを利用しエネルギー消費を抑えた居住空間の確保が必要

依頼者があなたに依頼した決め手: 

建築主様の要望と問題点を整理して、それらを解決するプランニングを提示しました。
その問題解決力・提案力とデザイン力を評価いただいたと思います。
工事施工者は建築主様が選定の工務店でしたが、その工務店は自社設計による施工が通常のところを設計は幣事務所に依頼したいとのこととなりました。

●建物の紹介文(依頼者のお悩み・ご希望を叶えるために工夫した点・採用した建材など): 

問題点を解決するため、4つのコンセプトを設定しプランニングしました。
□4つのコンセプト
①中心をつくる
吹抜け階段を中心とした室配置で内部空間の一体感を高め、”一つ屋根の下に暮らす”ことを常に意識できる家としました。吹抜け階段を中心に回遊動線としガラス壁や格子戸を介して階段や回遊動線上の動きが互いに窺い知れるような計画としています。
②風をぬく、光を取り入れる
屋根の一部を解体し、光を取り込み風をぬくハイサイドライトを導入しました。北向きに設置されたハイサイドライトからは安定した天空光が降り注ぎ、電動開閉により上部に溜まった熱気を抜き建物全体の通風を促しています。ハイサイドライトのある階段に面したリビングの竪格子扉は夏-通風のため:開、冬-暖気止めのため:閉により温熱環境をコントロールします。
③外部空間をうまく使う
物置化した和室と縁側を整理し、リビングと庭が接することで内外のつながりを強めました。縁側の一部をリビングに取り込み、和室は庭に近接させました。
④レイアウトが変えられる
取外し可能な仕切戸や一つの照明に頼らない照明配置により室レイアウトや家具レイアウトが自由となりました。和室とリビングと仕切戸によって仕切り、みんなが集まるリビングとの関係を強めました。和室廻りは仕切戸によって仕切り、必要に応じて取外して一体的な利用が可能な計画としています。

依頼者の声: 

建築主様より「色々なところに相談したけど、どこも同じような間取りばかりでこんな間取りを提案してくれるところはなかった」とおっしゃっていただきました。
実際出来上がった建物についても非常に気に入っていただいており、「建物がよくなったら、やっぱり庭が気になってくるね。」とそれほど関心がなかった庭にも目を向け始めておられます。
これからどのように使っていただけるかとても楽しみです。

その他の画像: 

□リビングと和室
和室はリビングに面して、取り外し可能な引違扉で仕切っています。みんなが一つ屋根の下で暮らすということを意識できるプランニングを目標にしました。

□ハイサイドライト
2F廊下と階段上に設置されたハイサイドライトから光を取り込み風をぬきます。北向きに設置されたハイサイドライトからは安定した天空光が降り注ぎ、電動開閉により上部に溜まった熱気を抜き建物全体の通風を促しています。

□玄関
趣味の自転車のための整備スペースとしての機能も持つ玄関。高い天井と間接照明が来訪客を優しく迎えます。

□トイレと洗面
窓のない洗面所。トイレとの境壁の上部をガラスとすることで外光が届く洗面所としています。
ガラスは同時に複数人が使用できる大きさ、タイルカウンターの下にはコンセント付の棚を設置して、使いやすくも雑多とならないよう配慮しています。

□外観
新たに追加されたハイサイドライトが、35年前に建てられた住宅に新たな息吹を吹き込みました。

□リビング・ダイニング
1.5倍の広さになったリビング・ダイニング。既存梁を利用した天井と浮造りの無垢フローリング、珪藻土壁で構成されている。

□キッチン
システムキッチンとそれを補完する造付食器棚。通用口側には約2畳のパントリーをもつ。階段との間はガラス壁と格子扉で仕切られ、玄関や階段での人の動きが窺い知ることができる。

□階段室とリビングを仕切る竪格子扉
ハイサイドライトから導入された自然光が階段室を明るく照らしています。
リビングと玄関をつなぐ竪格子扉は夏-通風のため:開、冬-暖気止めのため:閉により温熱環境をコントロールします。

□スタディスペース
キッチンに面したリビング・ダイニングの一角にスタディスペースを設置。出窓を利用した造付机を造作しました。

□プランニングのビフォア・アフター
普段使いしない和室と縁側が大きな面積を占め、それぞれが独立化していた室を
ハイサイドライトと階段を中心にした回遊動線によって繋ぎました

設計者

ユーザー 高野俊吾建築設計事務所 高野俊吾 の写真
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Last seen: 1ヶ月 3週 前
登録日: 2013-05-30 18:37