House T
郊外の新興住宅地の中に設けられた、小さな広場に面して建つこの住宅は、ほぼ正方形の敷地に対しプライベートな庭が確保できるよう、L字形のプランとなっています。
前面道路に対しては閉じつつも、隣接する住宅と適度な距離を置く配置にすることで町並みに配慮し、南側に配した庭に対して建物の開口部を大きくとれるような計画としています。
・リビング、ダイニングに面する庭は、建物から周囲の通行人の視線が入らないように適度なプライバシーがほしい。
・室内計画は個室で細かく区切られた空間ではなく、大きなゆったりとした空間としたい。
・玄関→ダイニング→リビング→寝室と徐々にプライバシーのある空間へと連続した空間構成としたい。
基本となるプラン決定に際し、いくつもの可能性のあるご提案を行い、図面や模型、CGパースなどで建物のイメージを膨らませ、最終案でみんなが納得する計画となるように収斂してゆくプロセスを楽しみながら計画を進めることが出来ました。
建物内外を構成する素材にとことんこだわりたいというご希望に対し、コストに考慮しつつ、様々な素材と構法の組み合わせをご説明し、サンプルや実際の使用例などを見学してじっくりと選定することができました。
機能的に明確に区分されつつも、各室が連続した一つの大きな空間として感じることができる構成とするため、玄関から少しずつスキップフロアで2階へと空間を繋げてゆく計画としています。
この結果、建物のボリュームを抑えながら開放感のある室内空間を実現しています。
室内外の左官壁や木製の建具、コンクリートで出来たキッチンカウンターなど、古くからある素材を現代的な構成で使用することで、シンプルでありながら素材感あふれる建物となっています。
前面道路に面した建物のファサードです。リシン掻き落としの白い壁と、コールテン鋼の構成は内部の機能の主従関係を明確に表しています。
全体を構成するスキップフロアの中間点に位置するリビングは、1階のダイニングと緩やかに繋がり、最上部の寝室とは壁に開けられたスリットによって接続しています。
キッチンカウンターは、建物の基礎から連続して立ち上がるコンクリート製とすることで素材感溢れる構成としています。
南側の庭に面した1階のダイニングは、4メートル近い引戸を全て解放することで、庭と一体となるような構成としています。
ゲストの寝室としても機能する茶室は、特別に製作した和紙を染めた壁で構成されています。
寝室とリビングをつなぐ廊下は、間接照明を上部に配置した収納棚と一体となっています。
バスルームは2階寝室の明かり取りを兼ねている坪庭に面しており、プライバシーを保ちつつ開放的な環境としています。