F邸 ―三つの庭がある住宅―
居間から北の茶室の庭を見る
居間の北側には茶室の庭、居間の南には既存の石組を生かした池のある南庭がある。
居間は南北両側とも建具を全開し、南北の庭とダイナミックにつながることができる。
依頼主は建築に非常に興味があり、また非常に造詣が深い。当初、依頼主は弊社の友人の建築家に設計を依頼した。たまたま敷地が弊社の近隣であったため打合せの場所として弊社が使用されることになった。しかし、最終案ができる前に友人は長期に海外に行くことになり設計の継続ができなくなった。そこで、友人の了解のもと弊社が設計者となることになった。
場所の提供に伴い、会食の機会などが多々あり、弊社の経歴、経験、技術力などが十分依頼主に伝わったと思う。友人が設計の継続をできなくなったときスムーズに弊社に依頼をいただいた。
建物はH型に配置した。中央の居間の南には既存の石組を生かした池のある南庭、居間の北側には茶室の庭がある。すべての部屋はこれら「南庭」、「屋上の庭」、「茶室の庭」という三つの庭に面している。構造は床と壁をコンクリートで造り、木造の垂木屋根をかけた混構造で住宅らしい暖かさを出した。浴室とトイレは南向きで池に面し全面ガラス張りの開放的空間である。黒い外壁は炭の粉の塗壁で塗装とは異なる魅力的な材質感がある。
満足していただけたと思うが、依頼主の建築への興味は尽きず、竣工後もいろいろ手を加える話は有る。また、海外にいる友人の交友関係は依頼者とも弊社とも続いている。
居間から南庭を見る
ソファーなどは置かず、座位の生活を希望。和紙貼りの天井は点灯するとスリット照明が出てくる。
南庭より居間を見る
茶室の庭
正面は広間の茶室、上は垂木木造天井の寝室。
茶室から簀戸を通して庭を見る
茶室と床の間
建具などは既存の再利用。
2階寝室。
屋根は木造、欄間はガラスで垂木天井が2階全体に続く。
南庭に続く浴室
ガラスの向こうのテラスは南庭の池に張り出す。
ガラスのトイレ。
浴室に並ぶトイレも全面ガラス。南庭の池に面する。手前には蹲踞がある。
階段
屋上の庭