つつじが丘の住宅

●設計事例の所在地: 
横浜市
●面積(坪): 
106㎡
●建物の種類(大分類): 
住宅関連
●メインの画像: 
●メイン画像の説明文: 

多摩丘陵の一端に位置しているこの地域は、昭和の中頃から区画整理によって計画的に開発されており、都心を結ぶ鉄道の開通によって急速に都市化した。駅周辺から街路樹や公園が多く見られ、木々に囲まれた街並みが特徴的である。敷地周辺も起伏に富み緑も多く、閑静な住宅地でその区画にも余裕がある。敷地は小高い丘の頂上に位置しているが、その半分は西に30°の勾配で傾斜し、先端は落差4mの擁壁となっている。形状は東の前面道路から2m程高くなっていて、接道長さは4mの旗竿状である。南には送電線の鉄塔が建っているが、西側の隣地を隔てた先に大きな公園の緑が広がり、さらにその先に広がる視界は遠く丹沢山系を望み、富士を視界に捉えることが出来るという素晴らしいロケーションである。

建てる前に依頼者が悩んでいた事・ご希望: 

施主の要望は、お菓子教室のアトリエを持つ住宅であること、教室開催時でも気兼ねなくくつろげるスペースを設けること、西に開けた眺望を取り込むこと、居室の天井高は最低でも3m、床の素材は愛犬に安全なものにして欲しいというシンプルなものであった。
敷地環境を考えると、南に庭や開口部を展開したところで、屹立する鉄塔に圧倒され、その存在をいやが上にも感じざるをえない。この敷地が持つ唯一の良好な西側の環境を、全ての居室に映し込むことを考えた。

依頼者があなたに依頼した決め手: 

信頼関係だと思います。

●建物の紹介文(依頼者のお悩み・ご希望を叶えるために工夫した点・採用した建材など): 

西斜面に跳ね出すようにしてパラレルに居住空間を配置し、中央にアプローチを兼ねた外部空間を貫入させた。長辺方向をすべてガラスで構成し、西の緑をすべての部屋に映し込んでいる。アプローチ手前側にアトリエ、奥に住居を配置し私的性を高め、床は全面タイル張りとし、空間に連続性を持たせた。このタイルが持つ厳密なモジュールとシャープなエッジが、均質な水平の「面」として強調され、マットな質感は、空間全体に落ち着きを与えた。
構造は南北のRC造のみで耐震的に構築し、鉛直的には小断面の鉄骨を主体構造としている。柱は75×45の角パイプを厚さ9mm、幅125mmの2枚のフラットバーで挟み込むように溶接することで、柱脚部や無目材との接合部のディテールをシンプルなものにしている。また、ガラスを受けるバックマリオンとしても利用し、大きなガラススクリーンを可能にしている。屋根版はc—125×65のフレームを幅1.8m長さ4mのユニットにした。ユニット同士をボルトで一体化させ、軽くスレンダーな断面で構成することによって、施工性を向上させた。鉄骨部の応力は、南北の4枚のRCの片持ち壁に伝えられる。基礎は斜面を避け、平坦な部分に構築しカウンターウエイト基礎としてバランスを取っている。

依頼者の声: 

「初めての家づくりを楽しみながら終え、四季の変化を満喫すると同時にわが家らしさを出すべく日々改良を楽しんでします。今振り返れば、私たちの家づくりで最も苦労したのは、私たちの漠然としたイメージをいかにして具体的に伝えていくかと言う点でした。雑誌で調べたり、イメージを持っていたつもりでも、うまく説明できない。そんな中で、何度も何度も趣味や仕事やライフスタイルの話をしながら、それを図面にしてくれました。また、模型やCGを使いながらイメージさせてくれたり、仕上げの実物やカタログなどをつかって、そのイメージは具体的になっていきました。
家づくりを終えて感じるのは、建築家に求められるものは、技術、経験、知識、センスと同時に、漠然としたイメージの翻訳能力、コミュニケーション能力、そして建築に対する熱意だと思っています。」

その他の画像: 

高台から景色を眺められるように、斜面側に跳ね出すように配置しています。

アプローチ

中庭
2つの箱をパラレルに配置して、中央に中庭を兼用した外廊下にしています。
光や風を内部に取り込み、快適な室内環境になっています。

リビングダイニングと中庭

玄関からリビングを見ています。
リビング越しに斜面側の景色を見ることができます。

リビングと中庭
中庭越しに寝室を見ています。

アトリエ用のラウンジ

寝室と中庭

設計者

ユーザー 有限会社 長井義紀建築設計事務所 長井義紀 の写真
オフライン
Last seen: 6ヶ月 4週 前
登録日: 2012-07-24 10:14