畳リビングの家
2階畳リビング:床座生活の高天井空間
1階にご両親とお兄様の3人の住まいと事務所、2階にお子さん3人を含む5人家族が住む、3世代8人と事務所の兼用2世帯住宅になります。元々お住まいの土地での建て替え相談から始まりましたが、最終的には土地選びの末南側前面道路で日当たり抜群の今回の土地で竣工に至りました。2世帯住宅の場合各世帯の距離感をどうとるかがポイントになりますが、今回はそれぞれに水廻りを確保し生活は分けるものの、ご両親が高齢なこともあり気配はいつも感じられる距離感が求められました。その結果、2世帯共通の玄関に障子を隔ててご両親世帯が住まわれ、玄関に設置した階段で上下をつなぎながら生活を分けることとなりました。また、階段踊場下にはエアコンを埋め込み簡易床下空調としヒートショック対策等を行っています。2階住居は以前の生活スタイルの踏襲と反動から畳による床座生活でありながら広々とした開放感のある空間が求められ、大きなワンルームの中に高天井の畳リビングと子供ブース+ロフトの重層部分を埋め込む形となりました。子供ブースは子供達が将来自立した際は夫婦で使えるよう取外し可能な間仕切りで仕切っています。当初、柱・梁が現しの昔ながらの古民家のような内部空間を求められましたが、市の不燃化推進区域にあり建物の耐火要求から柱・梁はボードで包むこととなったものの、畳と珪藻土やシナ合板による内部仕上げ、既製品でありながら無垢材の建具とスチールの手摺等によって自然な素材感でまとまっていきました。重心の低い床座生活と高天井空間が実際にどのような感じになるのか不安な部分もありましたが、テーブル・椅子を置かないがゆえに空間があまり規定されず最大限広々と使えるというのは改めての発見でした。
外観:1階左手が事務所入口、右手が2世帯住宅の玄関。上下階で世帯が違うので外壁はツートンカラーにされた。
アプローチ:親世代に配慮したスロープアプローチ。事務所と2世帯分の郵便受+インタホンが並ぶ。
玄関: 障子の奥が1階世帯のDK。階段踊場内には床下エアコンが仕込まれている。
1階DK:1階はフローリング床だがキッチンタイルや天井仕上げで統一感を出している。各室窓際に床下エアコンの吹出口を設けている。
階段:1階DKとは 障子で区切っているが上下で声を掛け合う空間になっている。
リビング・ダイニング:畳敷きなので座卓の置き方や座布団の並べ方で空間の使い方が変わっていく。正面収納の裏手に水廻りやパントリーが並ぶ。色決めの際、黒い畳を選んで頂いたので手摺や子供ブースの吊引戸金物と合わさって締った感じに仕上がった。
キッチン・パントリー
バルコニー:2階リビングの庭代わりに椅子を出して使えるくらいの広いバルコニーとした。右手に並ぶ吊引戸の奥にそれぞれの子供ブースがあり上部がロフトになっている。
子供ブース: 1人当たり3畳ほどのブースにロフトベッドと勉強机・洋服棚を入れて使っている。将来自立した際は間仕切りを外しご夫婦で使用される予定。
ロフト:子供ブース上部のロフト。窓からは屋根に上がれ花火大会を観賞することが出来る。