木箱の家
1階は、街に対して開かれた美容室と女性たちの社交の場。2階は、敷地裏側に広がる隣家の庭に対して開くプライベートな住空間になっています。風合いを感じる木の外壁と、暖かな陽射しと心地よい風を取り込む大きな開口が印象的なシンプルな家をデザインしました。
文筆業をされている旦那様。美容業を営まれている奥様。それぞれの仕事場とお2人の生活の場が、敷地や予算等の条件の中で、最大限に自然なかたちで成立するような、そして無理なく生活の中に溶け込むような空間構成にするにはどのようにしたら良いか、最初にお話しをお伺いしました。
話を聞くことから設計を始める姿勢や、私たちが夫婦で設計をしており、男性・女性それぞれの目線での話が出来ること。また、設計に関して、確かな経験と実績があり、その上で、柔軟で新しい提案が出来ること。また、大らかで居心地の良い空間の設計に、非常に細かな部分も気を配りながら設計していることなど。ご依頼をいただいた要因であるとお伺いしております。
仕上げとして多く使用している木材の良さは、一つとして同じ顔を持つことが無く、香りや節・木目の有り方、色合いなど、それぞれに個性があることだと思っています。時間が経つことで、ただ古くなるのではなく、アジとして、常に変化し続けることが非常に魅力的です。木素材の変化が、時の流れと共に、家への愛着を生みだしてくれることを想いデザインしました。
2015年「グッドデザイン賞」受賞
2016年「埼玉県環境住宅賞奨励賞」受賞
2016年 新建築「住宅特集」 9月号 掲載
「新しい住まい方の考え方の提案と同時に、外観や内部の美観、生活や職場の中で目に触れる素材など、2人がつくり出す空間自体が持つ魅力を実感しています。新しい住まい方のみの提示だけではこれだけの満足感は得ることは出来なかったとも想像し、すずきに設計を依頼し、本当に良かったと思っています。」(お施主さまからいただきましたコメントです。)
木の香りと風合いがやさしく日々の暮らしを包み込みます。
明るくシンプルなLDK。隣家の庭を借景に、奥行きと広がりのある空間になっています。
木製引き戸を使い、空間を仕切ることも可能になっています。木仕上げを多く使い、よりナチュラルな空間に仕上げています。
木製の螺旋階段と朝陽を取り込む大きなFIXガラス窓。
手摺もシンプルにデザインします。
1階は道路に面した美容室。シンプルなコンクリート土間空間。小上がりは、街に開かれた縁側のようになっています。
真っすぐなラインを出す。小さなことにも気を付けてデザインしています。
街にそっと馴染む木の質感。
四角い木箱のようなシンプルな外観。
夕景も美しく。