京町屋を家族の新しい住まいに

●設計事例の所在地: 
京都市下京区
●面積(坪): 
51坪
●建物の種類(大分類): 
住宅関連
●メインの画像: 
●メイン画像の説明文: 

町屋特有の吹抜、ヒブクロ(トオリニワ)に新しく設けた階段室。
おくどさん(かまど)のある吹抜なので、壁は煤けて真っ黒です。手が触れる部分には板を貼りましたが、上部にはそのまま残しました。

建てる前に依頼者が悩んでいた事・ご希望: 

依頼者は30代のご夫婦と小さなお子さんの3人家族。
京都市内のご実家が元々所有されていた3軒長屋のうちの2軒を一つにつなげて、お母さまと4人で生活できる家に改修したいというご希望でした。
急な階段、腐った柱、傷んだ瓦屋根、設備は古く、予算内に収めて暮らしやすい家に出来るのか?とたくさんの不安からの出発でした。

依頼者があなたに依頼した決め手: 

元々、依頼者(奥様)とはNPO法人古材文化の会で一緒にボランティア活動をしていた知り合いでした。
お互いに京都に職人の知り合いも多くあり、みんなで知恵を出し合ってワイワイやれる同世代の建築士という事で依頼してくれたと思います。

●建物の紹介文(依頼者のお悩み・ご希望を叶えるために工夫した点・採用した建材など): 

初めてご要望をお聞きし、建物の調査を行い大工さんと話をしながら私の頭の中には至極素直なリフォームプランが出来ていました。京町屋の良さを損なうことなく、ユニットバスやアルミのバルコニーなど新しいものも採用して現代の暮らしに沿う住まいになったと思います。

 土壁は補修、床には断熱材を入れて杉板を貼りました。路地から見える部分は木製建具を補修・新設しましたが、裏はアルミの網戸を入れました。

依頼者の声: 

最初のプランを見て貰った時に
「香奈ちゃんのプランを見た時、何の違和感もなく『これしかない』と思った」
と言ってくれたので私も少しホッとして肩の力を抜いて工事に挑めたように思います。

こちらは工務店を入れずに依頼者と職人さんが直接契約する分離発注方式で工事を行ったので、依頼者には煩わしい事も多かったと思いますが、いつも職人さんが機嫌よくお仕事出来るように気を配って下さりとても楽しい現場でした。
 現場の終わりにはお食事会にお招き頂き、
「庭のしつらいとか、床の油塗り替えたりとか育てていくわ」
と笑顔でお話頂きました。

その他の画像: 

改修プランです。
真ん中のトオリニワに階段を新設し、2階はお母さまのスペースとご家族のスペースを分けました。階段室からも各部屋からもそのままバルコニーに出られるのでお洗濯、お布団干しの導線もバッチリです。

改修前のトオリニワ
ユニットバスがむき出しのまま置かれていました。煙出しの窓には波板が貼られているだけで暑さ寒さが厳しい空間でした。

改修後
元々あった格子のデザインをそのまま木製サッシのデザインにしました。

二階 土壁が傷んで紙が貼られ、天井にもベニヤが貼られていました。

改修後 
ベニヤの天井はめくって断熱材を入れ、杉板の天井を貼りなおしました。壁は補修後漆喰ペーストを塗りました、床は杉板です。

建具などはそのまま補修・再利用しています。
全ての部屋にエアコンを設置。

キッチンは天板のみをステンレスで製作し、脚部や吊り戸はフリー板(集成材)で大工さんに作って貰いました。
キッチンからリビングの子供さんを見守れる対面キッチンです

反対側から見る。
この部屋は改修前は全てボードとクロスで囲まれていたのですが全て撤去して元々の姿に戻しました。天井を取ったコトで高さも取れました。

洗面化粧台
洗面台の天板は人造大理石、棚は造作で仕上げました。

設計者

ユーザー 福永香奈建築工房 福永香奈 の写真
オフライン
Last seen: 4年 1週 前
登録日: 2019-08-21 12:50