ハコフネ
1階_妹さんのスペースより中庭のような共有スペースをみる。
撮影:堀内広治
子世帯6人(夫婦+4姉妹)と親世帯3人(妻の両親+妹)の計9人の棲まいです。
難病により24時間介護を要する妹さんや高齢のご両親の為、都内のマンションからご両親の馴染みの地である日立市に居を移し、これを機に親子同居を開始されます。クライアント家族の希望は以下のようなものでした。
・寝たきりの生活をしている妹さんを中心に家族みんなが集まる楽しい家にしたい。
・各世帯間を明確に隔てるような「いわゆる二世帯住宅」は全く考えていない。
・高齢となってきた両親の為、冬でも温かく暮らせるような家にしたい。
敷地はJR日立駅より徒歩15分程度の住宅地に位置します。はじめて現地を訪ねた道中、日立製作所をはじめとする工場を多く見かけました。敷地の隣にも中規模の工場が建っており、切妻屋根の工場建築は、この地域では日常的な風景であり、この街を象徴する‘カタチ’であると感じました。
これらを踏まえ、外出が難しい妹さんが屋内に居ながらも樹々の緑や青い空などの屋外的要素をあじわえ、元気な4姉妹が家中を走り回れる、余計な隔てのない工場のような家を提案しました。
1階は介護の拠点となる妹さんのスペースを中心に両親スペースと家族が集う共有スペースを配置、全面を土間床とし蓄熱式床暖房を設置しています。2階は大小3つの吹抜を介して1階とも繋がる子世帯スペースを配置、中央の吹抜に輻射式冷温水パネルを設置しています。
大所帯に相応しい気積を確保すべく、矩勾配の切妻屋根とし小屋組を排除した方舟は、工場建築のようでもあり合掌づくりのようでもある、家族を包むシェルターです。
明るく仲のよいこの家族らしい、ポジティブで風通しのよい棲家となりました。
外観_前面道路よりメインファサードをみる。
撮影:堀内広治
外観_前庭より玄関ポーチをみる。
撮影:堀内広治
1階_ご両親のスペースより妹さんのスペース越しに共有スペースをみる。
撮影:堀内広治
1階_妹さんのスペースより共有スペースをみる。
撮影:堀内広治
1階_キッチンよりリビングダイニングをみる。
撮影:堀内広治
1階_共有スペースより妹さんのスペース越しにご両親のスペースをみる。
撮影:堀内広治
2階_子世帯スペース。
4姉妹が並ぶライブラリースペース側より夫婦のベッドルーム方向をみる。
袖壁で区切られた両サイドの空間は、4姉妹の就寝ブースとクローゼット。
撮影:堀内広治
2階_子世帯スペース。
夫婦のベッドルーム側より4姉妹が並ぶライブラリースペース方向をみる。
袖壁で区切られた両サイドの空間は、4姉妹の就寝ブースとクローゼット。
撮影:堀内広治
2階_トップライトのある中央の吹抜けより1階の共有スペースをみる。
撮影:堀内広治
外観_前面道路よりファサードの家形窓をみる。(夕景)
撮影:堀内広治