花内の家
大正期に建てられた古民家のリノベーション、前面道路から増築した門屋を望む、入り口をくぐると玄関へアプローチする。
住み手にとって生家は、冬は寒い・薄暗い・維持修繕費が掛かる・子供が住むのに敬遠するなど、様々な悩みがありました。住み継ぐためにこれらの問題を解決し、快適で楽しい家にして欲しいという要望がありました。
デザイン性だけでなく耐震補強や省エネ設計も得意とする建築家を探していました。
エリアも近かったため相談したところ、「減築をテーマにやりましょう」という言葉が心に響きお願いするに至りました。
大正期に建てられた古民家のリノベーションです。古民家というイメージの比重にとらわれず、変化してゆく事を楽しみ、世代を超えて暮らしの多様性を発見し楽しめる空間をつくりたいと考えました。道路から見る外観は純朴な和を感じる姿だけど、門を潜り主屋にアプローチすると外部にリゾート空間があり、玄関を開けると古民家の骨格の中にモダン空間を漂い感じ、上階に進むと力強い架構が姿を現し改めて日本家屋だと認識できる、、、そんな建築文化や懐かしさ、非日常性、意外性がかみ合った空間を敷地いっぱいに再構築することを試みました。
築百年の家を住み継ぐためには、周辺環境・生活様式の変化や温熱等の快適性にコスト高(伝統工法の改修は時間と手間を要します。)など様々な問題を明確に解決し、何より住み手家族が愛着を持てる「住まい」に仕上るためにことが肝要だと考えます。それに加え暮らしの潜在する多様性を生むような改修設計を行いました。
具体的には主屋は基本的には創建時の柱割付で素直にプランニングし、耐震補強を施しています。創建時の土間空間を復活させながらも新しいエレメントやマテリアルを組み合わせ、本来の古民家が持つダイナミックな空間と合理的利点を取り戻しつつ、快適な温熱環境(断熱補強・土間全面床暖房・薪ストーブ等)になるよう計画しました。
そして、家事動線は南北に走る通り土間と平行にダイニング~キッチン~サニタリー~家事コーナーとをシームレスにつなげ、あらゆる方向からアクセス可能としました。また、デッドスペースであった50帖超のつし二階をすべて居住スペースとし、直階段と螺旋階段を新設し回遊性を生みだし、将来多世帯がゆとりを持って暮らせるスペースを確保。連綿と受け継がれてゆける家の形を具現しました。
生家は、冬は寒い・薄暗い・維持修繕費が掛かる・子供が住むのに敬遠するなど、様々な悩みがありました。改修費用も掛かりそうで不安でしたが、「減築」をベースに古民家を踏襲した改修方法に留まらず、新しい発想でこれらの問題を解決しながら、家族が住まいを好きになる空間や仕掛けをたくさんつくって頂きました。
門屋の入口をくぐると、玄関へのアプローチが続く。
南の縁側前にアウトドアリビングを増築した。収納や本棚などもあり、屋内機能を屋外まで拡幅している。
アウトドアリビングの奥には露天風呂もあり、リゾートの様な非日常へ誘う。
玄関を開けると通り土間が続く。
バーカウンター付のキッチンで、フルオーダー。
洗面コーナーからキッチンを見る。上部は吹抜けで開放的な空間。
洗面カウンター・家事コーナーを見る。先は庭へと続く。
通り土間から、ダイニングを見る。薪ストーブを新設した。
中二階のリビング。小屋裏的なイメージで落ち着いた空間。
二階リビング。力強い小屋組が現しとなっている。