青梅の終の住まい
矩形を基本に必要に応じて小さな凸凹を設けた平面に
切妻の大屋根をかけた、シンボリックな外観。
前面道路は巾が広く一定の交通量があり、
向かい側には団地が、左側にはマンションが建っています。
その為、音や視線をかわすためにRCの壁を効果的な位置に配置しました。
また、「妻入りの平屋」は以前のお店の面影が残る形としています。
・終の棲家にふさわしい必要十分なサイズ感と合理性を兼ね備えた住まい
・万一を考えて車いすで生活ができること
・薪ストーブ設置
・趣味の山登りの道具の収納
お施主さんは、青梅市で30数年洋菓子屋さんを経営してきた60代のご夫婦。
今回、地元の方に長く愛されてきたお店を惜しまれつつも閉じることに。
これを機に思い出の詰まったお店を、
ご夫婦+愛犬+愛猫の住まいへ建て替えることになりました。
深い軒下空間の向こうに拡がる明るい広々とした庭。
勾配天井の登り梁に自然と視線が誘導されるのびやかな居間食堂。
この開放的で気持ちの良い空間を中心に、
寝室やNESTと名付けた書斎等のパーソナルな空間と
土間収納、パントリー、水廻り等の機能空間をストレスのない動線でつなぎました。
家事動線のみならず、山からの帰宅時や来客時、就寝時等あらゆるケースに対応します。
RC壁に続く下見板張りに導かれて玄関へ。黄色いドアは引き戸。必要になった際にはスロープにする予定ですが、それまではゆったりとしたステップで。
登山の道具等も置ける広めの三和土。正面の開口は4畳程の水場もある土間収納につながります。さらに土間収納を抜けると洗面所→浴室へ。
玄関から引戸を引いて居間に一歩入ったところ。薪ストーブ設置もあり、南側の床はタイル貼とした。犬の水を置いたり、冬場はダイレクトゲインの効果も期待できるので植物を取り入れたりする場所としても便利に使える。格子の向こうがNESTと名付けた小さな書斎。
構造の梁をあらわしとした勾配天井。いきついたトップに並んだ3つの天窓から白い壁を照らすように光が落ちる。夏場の熱気抜きにも効果抜群。左奥は寝室につながる。引込戸は巾1200と広めに。
造作キッチンから南側を見る。ガラスの欄間を通じて軒が続いていくことがわかる。
NEST入口から正面を見る。ラワンの本棚は、オイルを施主塗装した。
NEST 正面のわずか30センチの窓は猫が外を眺める為の窓。天井の一番低いところは1800を下回っています。籠り感が心地良い。
造作したキッチンの手元照明。スチールの黒とラワンを組み合わせて。
南側は中心を大きく凹めて隣家からの音や視線を遮り、落ち着いたプライベートな場所としている。雨戸はガラリとしたので、夏場は鍵を閉めても通風が得られる。夜になるとガラスの欄間からもれる灯が街に温かみをもたらしている。