しあわせカフェ(就労継続支援施設B型)
既存の企業主導型保育園に、就労継続支援施設としてのカフェを増築するプロジェクトです。建築主様は社会福祉法人優愛会様で、これまでも幼保連携型認定こども園や保育園、障害のある方のための施設の運営などをされていらっしゃいます。
保育園に来られる保護者の方、兄弟、そして地域の方々が集える明るいカフェとなるよう設計しました。ナチュラルな外壁材にオーニングとウッドデッキを設け、既存屋根に合わせた形で片流れの屋根としました。
計画されているご予算に合わせるのに、当初の設計事務所さんでは難しいということで、急遽、工夫をしながら設計できないかというご希望がありました。
時間とコストが限られる中、信頼して頂けたのは大変嬉しい限りです。
県に申請済みのため大きな構成は変えずに、シンプルな形状、ローコストでも見栄えのする建材を中心に、ポイントとなる床材を限定的に使用して、コストのメリハリを付けました。
雪が多い地域でもあり、屋根のかけ方なども工夫しました。
厳しいスケジュールで、不足なこともあったと思いますが、無事お引渡しでき、竣工後にお邪魔した時には福祉法人や就労者の方による飾り付けも沢山されていて、お食事を楽しまれる方が多くいらっしゃいました。理事長からは、「大きな問題もなく、雰囲気いいです。心配した床材の冷たさも全く問題ないです。」と言って頂きました。
既存の保育園のサブ玄関のホールから入店します。ホールの向かい側は地域交流室となっています。カフェ内は片流れの屋根形状を半分現しで生かし船底天井として高さを確保し、コストダウンのため灯数は増えましたが、それが星空のようにちりばめられたダウンライトを配置しました。床材の複層ビニル床タイルは、桜模様をグラデーション張りできるため提案し、ご承諾頂いたものです。
客席が配置される前の状況ですが、船底天井+ダウンライトと、造り付けのベンチシートの背面壁に間接照明を仕込みました。
就労継続支援施設として、調理室や菓子製造室での作業、ホールでの接客など、多様な部分で仕事に携われる施設となっています。ベンチシートの仕切りともなる隔て板の後ろにパントリースペース、奥に調理部門がある無駄のないプランです。
奥には小上がりの畳敷きの和室を用意しました。小さいお子様連れのお客様に人気があり、また扉を閉めて、個室として打合せなどにも利用できます。
竣工2年後の様子です。ケーキ等のショーケースなども設置されていて、メニューボードや飾り付け、観葉植物などを置かれてすっかりカフェの雰囲気です。コロナ対策で現在は客席を減らして営業されていますが、ウッドデッキに客席を出したり、ソフトクリームを提供したり、色々とお考えとのこと。
左側のサッシは幅・高さともありとても明るい店内にしますが、こちらは折戸形式の全開放サッシで設計しました。気持ちよい季節には開放してウッドデッキに客席を出している姿を見たいですね。