下高倉の家(改修)
●設計事例の所在地:
岡山県津山市
●面積(坪):
76
●建物の種類(大分類):
住宅関連
●メインの画像:
●メイン画像の説明文:
旧牛小屋のギャラリー
●建物の紹介文(依頼者のお悩み・ご希望を叶えるために工夫した点・採用した建材など):
津山市の北東部の田園風景が広がる地域に、昭和27年に新築された住宅である。施主が幼少の頃に過ごした住まいで、たくさんの思い出等の詰まった旧宅での生活を希望され、改修計画が始まった。
家上げ、基礎工事の上で、土台・構造壁の補強をしながら、これからの生活スタイルを創造しながら改修計画を行った。再利用できるものは、障子、床板、扉の鏡板にいたるまで、手を加えながら使用した。近い将来、息子さんの家族も、主屋の隣の長屋を改造して住む予定である。にぎやかな生活が予想される、息子さんの家族。子育てが終わってお二人の生活を楽しまれるご夫婦。二つの異なるステージでの生活の場を結ぶのが、ギャラリーと外部デッキである。
ご主人は備前焼のコレクターで、住まいのいたる所に置かれていた作品を、収納・展示をするギャラリーを提案した。旧牛小屋の骨組みだけを残し、構造材・転用材をそのまま見えるように、ガラスで展示部分を間仕切った。この余白の部分が、これから始まる、二つの家族の新しい生活の、あらゆる場面に役立つはずである。
改修工事は、古材の「根継ぎ・埋め木」等、作業に時間を要する。その地道な作業が新築の空間では味わうことのできない、この場所で時間を経た古材だけが持つ安堵感を生み出すように思う。施主の記憶と相まって、主人の唯一の空間となり、新しく追加された壁や扉とともに、この住宅の歴史の中に溶けんでいけばうれしい。
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