G-stays 新宿 集住→ホテルへの変更
新宿歌舞伎町に建つRC造7階建・築32年のワンルームマンション(32戸)を外国人をメインターゲットとしたホテルに用途変更しました。
実際には無許可でホテルとして使用していた築32年のワンルームマンションを、オーナーが変わったタイミングで適法に運営するためにはどのようにしたら良いのか分からず、相談する専門家を探していたようでした。
私がパートナーとして所属していた会社(インスペクションをメインとする不動産関連会社)に弁護士を介して相談があり、私どもが過去に用途変更の経験があったため、このプロジェクトに共同設計者として参画することになりました。
検査済証はありましたが、元々駐車場として申請していた部分を住戸に変更していたり、開放廊下を塞いで室内化していたりと完了検査後に違法な改変が行われていました。私が前職で区立中学校の設計を担当していたこともあり、面識のあった区役所の関係者に相談すると「適法化を前提とするなら」と様々なアドバイスや協力を頂くことが出来ました。地域内の建物を適法化して運営することは新宿区にとってもメリットになると判断されたのではないかと推測しています。建築基準法の改正によって、EVシャフトや備蓄倉庫の面積が容積対象外になったこと等を最大限に活用して、適法に用途変更申請と増築申請を行い、新たに検査済証も発行して頂く事ができました。
オーナーからは当初は検査済証が得られるとは思ってもいなかったと言われ、ホテルの運営事業者からは旅館業としての営業許可も下りて適法に運営できることを大変喜んで頂きました。一時期はコロナ禍で客足は減ったものの、漸く回復の兆しもあり、何とかやっていけているとの連絡も頂き嬉しい限りです。更に、このプロジェクトをきっかけとして同じ運営事業者からは引き続き相談や依頼を頂いており、現在同じ新宿区で今度は一棟貸しのホテル営業に関する用途変更と旅館業申請の手続き中です。
外観は普通のワンルームマンションです
以前は既存ブレースをボードで塞いでエントランスホールを屋内扱いとしていましたが、今回の改修で違法部分を撤去して再び開放廊下に戻しました。
エントランスホール側は法的には開放廊下ですが、ルーバーを新設することによって適法ながらも少しは室内の雰囲気を出す工夫をしています。
ブレース部分とルーバーの詳細
ホテルフロント部分:後ろの壁も違法改修で設けられたもので、元々は開放廊下で面積不算入部分でした。今回の改修で当時の状況に戻して開放廊下部分にフロントを設置する訳にもいかず、他の部分で容積対象面積を何とかやりくりしてフロント部分は室内として面積を算入することにしました。
フロントの様子です。
エントランス横の壁面に多言語表記のウェルカム看板が設置されています。