tayo house -京都長屋の改修-

●設計事例の所在地: 
京都市南区
●面積(坪): 
14
●建物の種類(大分類): 
住宅関連
●メインの画像: 
●メイン画像の説明文: 

京都市の連棟長屋の中央に位置する住宅の改修プロジェクト。幹線道路から脇道、そして私道である小路を経て長屋の1室へと、どんどん細く狭くなっていく京都らしいスケール感の中に、開放的な「私の居場所」を小さくも実現することを目指しました。

建てる前に依頼者が悩んでいた事・ご希望: 

はじめに現地確認に伺った際に「①1階床の強度が悪くしなっており、白蟻被害を気にしている」「 ②京都の冬の底冷えを解消したい」「③内装を白色にしたい」とリフォーム等を希望されていました。

依頼者があなたに依頼した決め手: 

現地確認結果とご要望から、後日にたたきとなる計画検討図とスケジュール表を説明しました。その後、「計画内容を一緒に考えられそう。床に開口を開け、床下の状況を確認することを計画初期に実施するスケジュールとなっていて望ましい」と言って頂き、ご依頼を受けることになりました。

●建物の紹介文(依頼者のお悩み・ご希望を叶えるために工夫した点・採用した建材など): 

依頼者の相談内容から、①については、計画初期の調査では白蟻被害状況は判明しませんでしたが、計画後の現場解体時に柱や土台の白蟻被害状況が見受けられたため、依頼者に早急に連絡し、被害部材の交換や添え木による補強しました。また、その工事状況を監理報告書にまとめて提出しました。②では、断熱仕様を依頼者と共に検討し、ZEH仕様の断熱リフォームを行いました。③については、室内全体を白色で塗ってしまうと単調な印象になるということを共有し、一般部は調湿性能のある白色の漆喰仕上を施し、1階の玄関から見通せる部分は木板に白色塗装を施した上で適度に木目部分のみヤスリがけを行い、木目部分が浮き出た白色木板というオリジナルなテクスチャを提案しました。その木壁にはフックやスイッチ、各室への入り口など、生活に関わる小物や活動が見え隠れする計画としています。その間に、天井高さの高いリビング・ダイニングを計画することで、小路から引き込まれた先にあるポケットリビングのような籠もった感をつくり出し、落ち着いた「間(あいだ)」に住まうことを提案しています。

依頼者の声: 

「断熱がしっかりしているのか、エアコンだけでも寒さを感じない。」「漆喰仕上の見た目や白さが気に入り、採用してよかった。」「木壁の印象が周りの友達からとても好印象!」とお声を頂きました。たくさんの試行錯誤が計画中や現場でもありましたが、ご希望に添えた結果となり、とても安心しています。

その他の画像: 

連棟長屋の続く外観から、木壁がアクセントとなって内部に引き込むようなアプローチです。

玄関から木壁に囲まれた中央に位置するリビング・ダイニングへと誘います。木壁には真鍮製のスイッチやコンセント、フックなど素材を統一して落ち着いた雰囲気をつくり出しています。リビング・ダイニングは建具を占めてプライバシーを守ることもできます。

アール型の開口が並びます。

この計画では、住み手の身体寸法からキッチンを室内に寄せて、あえて廊下をつくり、独立したキッチンスペースを計画することで、小さくも奥行きの創出と気持ちの切り替えのできる豊かさを獲得することに成功しています。

木壁には生活者のアクションが現れるように、アーチ状の開口が開けられています。向かって左側のくぼみにはソファが置かれます。木壁の間の居場所です。

2階の階段室への扉です。2階の明かりが階段室側にも漏れて、明るい階段となるように計画しています。

2階の寝室スペースです。既存の状況から間仕切りや建具を撤去し、天井高さを上げて、開放的に計画しています。

設計者

ユーザー メラーキテクチャアーキテクツ建築研究所 吉松宏樹 の写真
オフライン
Last seen: 1週 1日 前
登録日: 2022-05-03 22:20