割烹 M
銀座の一画、計画イメージは街の流れに沿って歩いていたら竹林に囲まれた和風仕立てのお店があり門戸から内を透かし見ると数寄屋造りの店構えが見えた。誘い込まれるように店内へ。そのためにお店の顔は内部の象徴であることからストレートな表現を採用。石、竹、木、瓦、じゅらく等を使用、入口での結界は排除しトーメイガラスによる内外無しの連続性すなわち道の延長で店内の中庭へ誘導。
「今は品あるデザインでお客様に喜んでいただいている。しかしながら時間がたち過ぎて痛んできた
箇所が多い。改修時期に至ったが充分な準備ができていない。又やるなら品格ある和風にしたい。」
「希望に沿った設計者がいない。」
この物件は以前にコラボした企画会社(施工部門あり)の紹介。企画会社と施主とは以前よりのお付き合いがありのご縁。現在は大壁を中心にした数寄屋であるが計画では真壁を基本とする。ことや大事な客動線、管理動線を大筋なスケッチにより説明。お店は空間(雰囲気)、味、器の3者一体の構成でありその一翼を担う空間の重要性をご理解いただく。結果「どうせ改装するなら多少割高になるかもしれないが思い切ってやりましょう。レベルアップになればやりがいもある。」とのことでした。
門から中庭に至り一望のもとに状況に応じ数寄屋の雰囲気を感じながら座する場所が特定できる。
しかもプライバシーの確保のため庭奥には茶室風情の4.5畳がしつらえられている。
簀戸を使用しての透かし空間もあり小上がりでは3つの部屋から3部屋連続の一体空間にも変化する工夫が凝らされている。照明に関しては明かり過ぎず日本建築の陰陽を基本とする。全体を数寄屋の雰囲気で高度なおもてなしに満足できるお店となっている。
使用した語彙:一文字瓦、銅板葺き、錆丸太、名栗の梁、杉板、桧板、赤松板、米松板、本じゅらく、白竹、煤竹、簀戸、襖、丹波石、玄昌石、下地窓、掛け障子、和紙、竹すだれ
「以前とは和風と言えども違った品(雰囲気)があり癒される。」
「いろいろな使い勝手がありお客様が喜んでいる。」
「これだけのお店になったのだから頑張らないと。」と言っていただいた。
店内の入り口近辺を透視。下地窓が見える。屋根裏、飾り棚も数寄屋の風情でまとめられている。左奥は簀戸を通しての個室にもなる。
庭奥の茶室風情より入口近辺を見る。かなり数寄屋の集大成。
数寄屋の持つ本質。自然素材を使用。簀戸を通しての朧気なる風情はこれまた一興。