土岐のゲストハウス
既にある約327㎡の木造の住宅と広い中庭を介して一体的に計画された木造の平屋建てで大スパン構造の建物です。いわゆるトラス構造やLVL、CLTといったものではなく在来工法に近い構造で計画されました。大きな空間の中に木の格子や珪藻土といった自然素材を使い訪れた人の心を包み込むような温かい空気感があります。広くシンプルな中庭には石畳と大きなシンボルの木を植え、四季の移ろいも感じることができるもてなしの空間が誕生します。メインのエントランスは既設を改造した方にあり、ホールに踏み入れるとまずは旧中庭の景色が出迎えてくれます。ミニラウンジを左に見ながらそこから広い中庭方向へ、シンボルの木と石畳を目にして渡りのサンルームを通ってメインラウンジへ、、、
ゲストをもてなす空間であることはもちろんの事、たとえ会社が存在が無くなったとしても、この建物を建てるために携わった人たちがいなくなったとしても誰かがその価値を認めて使われていることを目的として「残る建物」でありたい、そんな要望がありました。
既設の木造も改造して新築の方との一体的な深い庇のデザインにしたい。そしてラウンジはできるだけシンプルでひとつの大きな空間を確保したい。また中庭との一体感と開放感のために中庭に面した部分は連続した大開口にし、その連続部分にはできるだけ壁を設けたくない。
いろいろな用途の建物を手掛けていて知識が豊富
歴史に残る建物はやはり日本古来の木造でほぼ在来工法で作れないか考えました。
ただ大きな空間を確保するためには大スパン構造が必要であり、連続した大開口を実現するためには耐力壁のバランスが問題になります。木構造の専門家に相談してその方法を解決しました。内部には木板の大和張りや格子を使い、珪藻土と相まって上品で凛とした空気感、連続した大開口で外部との一体感も手伝って広々としたてなしの空間になります。
残念ですがこの物件は設計は完了していますが、コロナ以降の資材や手間代の急激な高騰により中断を余儀なくされています。
施設全景です。右側は既存を改造して左の新築とデザインの調和を図りました。
手前が道路で約50mの漆喰塀の中央の解放された門からアプローチします。
門を入って右の方を見ると大きな格子門扉があります。
門扉を抜けたところは既設を改造したメインエントランスで木格子と木引き戸、ガラスがデザインされています。
既設を改造した玄関ホール正面はもともとある中庭の景色が出迎えます。左は約50畳ぐらいのミニラウンジです。中庭手前左方向通路(サンルーム)へ向かうと大きな中庭とシンボルの木が見えます。
通路(サンルーム)は北面に格子の地袋、飾り棚があり南面は連続した大開口のガラス面がメインのラウンジまで続きます。
通路からメインのラウンジ(約100帖)まで来ると中庭とシンボルの木は東(左)側に見え、ミニラウンジの方まで一体的に大きな空間となっています。大開口のガラス面はミニラウンジからこのメインラウンジまで連続しているのです。
メインラウンジを南から北の方を見ています。
既設の方の和室(2間続き+縁側)を一室の大きな和室(約50帖)に改造しました。
同じく和室です。
既設の方のミニラウンジに改造したところです。