Å倶楽部
繁華街を抜けると比較的落ち着いた高級な一角に至る。数寄屋風の風情ある容姿をした建物沿いに進むとこの門前に至る。梅の古木を配した静寂な中庭にある延べ段を通り倶楽部の玄関へ。
道路から中庭、玄関という贅沢な「間」は訪れる人の心を和らげる。
「本館は日本料理、鉄板焼き、大宴会用座敷の構成でやっているがゆっくりと休める待合スペースが欲しい。」「テーマは平山画伯のシルクロード」「長く旅した人の憩いの場」
与えられた既存の空間が比較的天井高が低いため中央に5m×5mの折り上げ天井と大胆にステンドグラスを作り象徴空間とし低層部とのメリハリを提案。
この計画は施主の希望をかなえるための改修工事であるが、テーマがはっきりしていたのでそのための仕掛けは早目に決まっていた。中央に折り上げ天井、単色の色合いと繊細な分割フレームによる
ステンドグラス、その周辺はエーゲ獅子の柄によるクロス貼りとし雰囲気を締めている。壁はスタッコ塗とし単純化している。床は勲章柄の毛足の長いじゅうたんとしゴブラン織りの椅子と調和しすべて特注でまとめた。特に管理面でこのスペースを独立させ本館との連結をしやすくしている。
「テーマはあったがこのような形で完成することは予想しなかった。本館、門から中庭と和でできているがこの空間に入った時の意外性は気に入っている。希望した待合スペースはステンドグラスを中心にまさに癒しの場所だ」
折り上げ天井の中央に大胆なステンドグラスを配し、壁は単純にスタッコ塗として空間の圧迫感を和らげている。折り上げ天井の周辺は4つの低いアルコーブとなり椅子席とカウンター席とで落ち着いたスペースとし、低めの長窓からは池と竹林が眺められ静寂さを感じられる。又
調光とBGMで雰囲気を出すことも可能

平山画伯のタペストリー(シルクロード)が壁、天井のスタッコ塗の単色によく映えている。
人生の旅にかけたタペストリーである。