光・風・気の流れる家
家相によって方形の形が決められていたので、デザイン的にバルコニーと1階一部を斜めに振り、
屋根も変形の片流れにした。
斜めに振ることで機能的にも駐車場を縦列にして面積の有効活用を行い、
屋根を片流れにすることで歩ける屋根裏収納を設けた。
2世帯を効率よく設けること、出来るだけ収納が欲しいなどと、
真四角な建物になるためデザイン的に処理をすることなどのご希望でした。
5名の建築家コンペでしたが、駐車場のとり方・デザインの処理の仕方・収納の取り方など
独創的でひと目でお気にいられ、即日で決めていただきました。
また自然素材や木材に精通していること、話しやすいというのも依頼の決め手になったと伺いました。
玄関横のシュークロゼット・床下収納・屋根裏収納に加え洗面奥に納戸を設けるなど
収納の充実を図りました。また決して広くないリビングは天井を高くしてトップライトを
設けるなどで視線を上に伸ばすことで補いました。
少々アレルギー気味の奥様でしたので、建材は身体に負担をかけない国産無垢木材、漆喰、珪藻土
自然クロスなどを採用しました。
竣工後、お客様からいただいたお便りです。
『暑中お見舞い申し上げます。家のほうは真夏の暑さを除けば、快適に暮らしております。
家に来る客人が、皆声をそろえて「木の香がすごく良い!」と誉めていただきます。
引っ越してくるまでは、部屋が狭くてリビングなどは居づらいかなあと思いましたが、
家具を入れても天井が高いせいか全然圧迫感がなく、ビックリしました。
娘の部屋のロフトにはベッドを入れましたがいい感じで納まっています。
義母は仏壇の隣をギャラリーのようにして、いろいろ飾っています。台所もあるおかげで、
毎日自分の食事を作るようになり、生き生きとしています。引っ越して一番良かったのは
おばあちゃんかも知れないと家族皆でいっています。
屋根裏はいまだ手つかずですが、涼しくなってからやろうと思っています。
また先生もお時間ありましたら、こちらのほうにお寄りください。(えっこんな家になってる!と
ビックリされそうですが、その時は片付けます。)
それでは暑さ厳しき折お体ご自愛ください。』
1階玄関横の書斎。
ガラスのトップライトからは夜星が見える。
家族は玄関横のシュークロゼットを通って外出する。
お婆ちゃんの部屋の前には小さいながら庭があり、好きなはなみずきの花が咲く。
塀には木戸があり災害時はすぐに道路に出られる。
お婆ちゃんの部屋は和室だが、ベッドを置く部分の床は杉の無垢板にしてある。
狭さを高さでカバーしたリビング。帆布の照明カバーは当方が製作して寄贈したもの。
奥の引き戸を出ると階段になっている。
建具は狭いので、基本的に引き戸を採用している。
2階の洗面所には無垢板に実験用洗面を埋め込んで製作した
シンプルで機能的かつ安価な洗面カウンターを設置した。
奥には納戸があり、屋根裏収納へあがる収納階段が天井より降りる。
ロフトのある天井の高い子供部屋。ロフトの奥に屋根裏収納へ抜ける秘密のドアがある。
物入には湿気防止のため杉板を張り巡らした。
玄関横のシューズクロゼットは土足のまま入れる。
敷地の鬼門はコンクリートで塞がずに土のままにしてある。
2階洗面奥の納戸から屋根裏収納へ上るハシゴが天井から降りてくる。