多気の住宅
「光室」という建物中心の吹抜け空間の内観 スキップフロアーで構成された住宅の中心となる空間。
小高い山の中腹傾斜地が敷地であるため構造的に安全であること、日当りが良くない敷地において建物全体が明るい内部空間とすることが求められました。
提案のメインとなる内部化した中庭空間について、「光室、それはいいですねー」と言っていただいたことでしょうか・・
山の林の中の敷地に案内されて初めて感じたことは、日本独特の仄暗い静かな美しさでした。この環境の中に明るく静かな抽象的な空間が作れないだろうか・・といったことが計画の中心となりました。
傾斜地に応じて、半地下ー1階ー中2階ー2階が連続するスキップフロアの構成にすることにしましたが、その全てのフロアに天空からの光を行き届かせる「光室」と呼ぶ中庭のような半外部的な内部空間を設けることにしました。
その空間に面するそれぞれの居室は、太鼓張りの障子で閉じたり開いたりすることができ、「光室」を中心に様々な空間が連続展開する変化に富んだ生活空間を演出することが可能となります。
障子を閉じると全ての空間が独立した抽象空間となり、開くと全てのフロアが一体となる有機的な空間になると言った具合に・・
山の中腹に切り取られた空間が、その自然の環境に応じて生き生きとした生活空間になることを目指しました。
「光室は外のような内部で、いろんな使い方ができて楽しいです。」と言っていただきました。
中2階のリビング・ダイニングから、「光室」を挟んで1階寝室と2階寝室を見たところ。それぞれの寝室は太鼓張りの障子で閉じることができる。
1階寝室から「光室」を見た内観。 右側に見えるガラスの腰壁は半地下の居室へ光を落とす窓。
上の写真のガラスの腰壁を下の空間から見上げたところ。「光室」からの光が半地下空間にも行き渡ることが分かる。
中2階のLDKの障子を開いて「光室」と連続させた状態。
LDKの障子を閉めた状態。この障子を閉じると正面の外部との連続が強くなる。
北側の外観 正面の大きな開口は、半地下空間と1・2階寝室に面する開口。
前面道路上部からみた外観 できるだけボリュームを大きく感じさせないよう計画した。