田端の家(防音室とお茶室のある2世帯住宅)

●設計事例の所在地: 
東京都北区田端
●面積(坪): 
57.0坪
●建物の種類(大分類): 
住宅関連
●メインの画像: 
●メイン画像の説明文: 

山手線田端駅から徒歩5分程の敷地に建つ、木造、在来軸組工法による2世帯住宅です。

敷地は、道路面より1m程高くなっっている角地ですが、安全に家に出入りできるように
建物(玄関)の外に階段を設けるのを避けるため、建物の中で敷地の高低差を解消するようにした住宅です。

景観上の観点と共に、構造の合理化やそれにより建築費を抑えることを意図し、
正方形に近い平面形態、屋根は片流れとしたシンプルな形態の住宅です。
また、バルコニーの上部のガラスの庇、木製のパーゴラ等も外観上の特徴です。

建てる前に依頼者が悩んでいた事・ご希望: 

敷地の引き渡し時期が不明確であったり、造成中の道路や隣地との関係性をいかにとるか等、
設計以前の点から不明確なことが多々ありました。
これらについての助言、提案をさせて頂くところからお手伝いをさせて頂きました。

依頼者があなたに依頼した決め手: 

2世帯住宅ということの他に、防音室(音楽室兼書斎)やお茶室(客間兼用)、ビルトインガレージといった諸室もある家ですので、
建て主さんはこれらの経験や知識のある設計者を探しておられたようです。
ご希望をいろいろとお伺いした上で基本計画案を提示し、他者と比較の上で、
最良の提案がなされたとの事から依頼を頂きました。

●建物の紹介文(依頼者のお悩み・ご希望を叶えるために工夫した点・採用した建材など): 

「2世帯のより良い関係性を築くことができる家」
「家族それぞれがゆったりと自分の時間を過ごせる家」
「機能性や耐久性の高いしっかりとした家」
「明るく風通しの良い家」
「ワンランク上の性能を有する家」
といった建て主さんに求められたテーマに応えるようにした住宅です。

主には、家の中心部に階段を設けることにより廊下(無駄なスペース)を少なくして、
移動を最小限に合理的な動線計画とすること、更に家の中をひとまわりできるプランとすることで、
さまざまな利用ができる家としました。
また、2世帯の敷地内や世帯間での関係性による諸室配置、トップライトによる家の中心部への採光、煙突効果による室内の空気の循環、耐久性のある建材の選択等も充分に留意した住宅です。

その他の画像: 

木製ベンチのある玄関ポーチ。
外のベンチは一時的な手荷物置き場としても重宝されることが多いものです。
玄関扉は上記のベンチと同材、タモの無垢材を丸鋸目でテクスチャーを出す仕上げとしました。
玄関扉の奥に見える階段を上がった所には、家の中までは案内をしない来客との打合せコーナーを設けています。

建物の敷地は前面道路より1m程高くなっていますが、道路からはフラットに入ることができるようにした玄関です。
年配の親世帯のご家族の為、安全に家の中でゆったりとした階段で住まいの部分の高さまで上がることができるようにしたものです。
奥の階段の先の三和土は打合せコーナー。
そこにお茶室へ入るにじり口があります。

玄関脇に設けたお茶室です。
客間としても使用するため、天井の高さは高くしていますが、間取りその他は作法に基づくお茶室です。
写真は水屋側からお茶室を見たもので、
奥の左手が床の間、右手がにじり口です。

家の中心に設けた階段室(2階部分)です。
この階段室を中心に家の中をひとまわりすることができるプランとしています。
階段上部に設けたトップライトにより、下階にも光が降りそそぐようにしました。

キッチンより正面(南面)のリビングを望む。
リビング左手はダイニングと木製のパーゴヤがかかるデッキテラス。
右手は階段室を見通す室内窓です。
キッチンからは、この窓ごしに階段を挟んで子供室や音楽練習室回りを見ることができ、家中の人の動きが把握できるようにしました。

南向きのダイニングです。
テーブル上部のトップライトによりダイニングだけでなく、写真左手のキッチンも光が降りそそぐ場所としました。
お子さんが小さいうちは特に、ダイニングは読書や勉強の場にもなりますので、家の中で一番明るい場としたものです。

建て主さんの希望はアジアンテイストのルーフデッキがほしいとの事でした。
ダイニングの南側に設けたルーフデッキは、近隣からの視線が気にならないように両側面を壁として、日射しをコントロールする為にパーゴラを造った場所としました。

ご主人の音楽練習室兼書斎です。
時間を問わずに使用できるように、親世帯の住まいとは平面的にも断面的にも最も離れた場所に配置しました。
木造の住宅での防音室ではありますが、床・壁・天井面においてそれぞれしっかりとした遮音構造とした部屋です。

ビルトインガレージ。
時には趣味の作業場としても使用したいというご希望を受け、建物北側のガレージではありますが明るいインテリアとし、排気ガス対策の為、車の後方のみ濃色の壁面としています。
また、作業道具やその他の収納スペースを充分に取るべく、天井の両側は吊戸棚としています。

将来2室に仕切ることを前提とした子供室です。
日中に家にいる時間の長い子供室は南向きとして、天井の高い部分にロフトは設けました。
子供部屋の入り口部には、2人のお子さんが共用で使用するものを収納、展示できる為の棚をあらかじめ設けておきました。

設計者

ユーザー 中川龍吾建築設計事務所 中川龍吾 の写真
オフライン
Last seen: 1年 4ヶ月 前
登録日: 2012-07-24 10:09