中原町の家
写真は南側外観ですが、人通りのある生活道路に面しているので、プライバシーを守る為に開口部を極力設けず、閉鎖的な外観にしています。中央のくぼんだ部分が玄関ですが、ドアを開けると、閉鎖的な外観から一変して、視線が抜けて開放感を感じるようなサプライズ的な演出をしています。
この面だけ見ると窓が少ないので、中は暗そうなイメージを持たれると思いますが、室内はどの部屋もとっても明るくなっています。
ご両親が高齢でお世話が必要なこともあり、ご両親の住む母屋とのつながりは考慮してほしいとのことでした。また、ご主人の趣味がオーディオなので、ゆっくり音楽が聴けて音質のいい空間をご希望でした。奥さまは、家事がし易くて、収納の多い片付く家をご希望でした。
住宅展示場などに行ってハウスメーカー各社を検討されていたみたいですが、なんとなくプランにご納得されてない様子でした。ご相談をいただき、いくつか計画案を作成して、ご提案したところ気に入っていただき依頼していただきました。打合せの度に記録も作成し、真摯に対応したことも好印象だったと思います。
この住宅は、熊本新港に程近い静かな田園地帯の集落の中にあります。定年退職を数年後に控え、これまで転勤族だった建て主さんが、これからの人生を豊かに幸せに暮らすために、また年老いたご両親のお世話をする為に自邸の新築を考えられました。
敷地はご実家の広い庭を利用し、南面と東面が道路に面した角地となっています。
配置計画としては、生活道路として人の行き来きがある南側道路面をできるだけ閉ざし、北側に建っているご両親の住宅に向って開く形をとしています。また敷地に沿って建物をL型にし、西日を遮りながら中庭をつくり、新旧の住宅でコートハウス的な空間を創ろうと意図しています。既存樹木であるハナミズキを中心とした中庭を囲んで、家族がいままで以上に仲良く幸せに暮らすことを期待しています。
内部空間としては、朝日や南西からの海風の取り込みを意識しながら必要最低限の部屋を作り、統一感のあるシンプルでプレーンな仕上げとしています。特に一日の大半を過ごすリビング・ダイニングは、吹抜けや大きな開口部を造り、開放感のある気持ちのいい空間となっています。またこの空間は音楽を聴く事が趣味の建て主にとってリスニングルームでもある為、吸音の為の有孔建具や除湿型放射冷暖房システム(HR-C)も採用しています。HR-Cは、除湿を行なうだけでなく音が一切しないシステムなので快適に音楽を聴く事ができます。その他、太陽光発電パネルやIHヒーター、エコキュートなどを採用したオール電化住宅でもあります。
大満足されている建て主さんが、この家でこれからの人生を幸せに暮らしていただくことを願っています。
たまにお伺いするんですが、この家族はこの家をとっても大事にされているのが伝わってきます。いつも片付いていますし、掃除も行き届いています。不具合の発見も早いですし、メンテナンスもされています。ご主人は単身赴任が多いのですが、「早くこの家に帰りたい」「この家でず~っと暮らしたい」と会うたびにおっしゃいます。私が設計した家に、こんなにも愛着を持っていただけるのは、本当にありがたいことです。
南側外観の夕景です。
中庭側の外観です。正面のガラスの多い部分がLDKです。朝日が存分に差し込み、明るい空間となっています。中央の樹木は、以前からあったハナミズキです。この木を囲むようにして、母屋と共にコートハウスのような配置としています。
玄関ホールです。サプライズ的な演出として、玄関ドアを開けると、閉鎖的な外観から一変して、視線が通り開放感を感じられるよう意図しています。
右側の茶色の引き戸を開けると、玄関収納になっています。ご家族は、そこで靴を脱ぐことで玄関はいつもすっきりできます。収納もたっぷりあり、靴はもちろん、ゴルフバックやコート類、屋外で使用する道具類を収納できるようにしています。
リビング&ダイニングです。右に見えるリブ状の物がHR-C(除湿型放射冷暖房システム)です。
壁天井の仕上げを珪藻土とすることで、調湿や消臭機能を持たせています。
寝室です。東側の高窓から朝日が差し込んでいる様子です。
階段室です。
リビング東側のウッドデッキです。