本棚の家
階段下に廊下程の巾一面の本棚。
すべて大工さんに作って貰いました。
建築主が無人になっている実家(2戸イチ長屋の1戸)に移るためのご相談でした。
リフォームか新築かで悩まれていましたが、長屋は平屋で増築も限られるため新築する事になりました。
・隣家の切り離し工事がうまくいくかどうか
・とにかく本棚が欲しい
・予算に収まるかどうか
というご要望でした。
こちらのサイトで『女性建築家』を希望されていた方です。
応募の際に所員(30代女性)が書いた手紙で、現地でお会いする時にはもう決めておられたようでした。
60代の増田と同世代の所員とで安心して頂けたのではないかと思います。
長屋の切り離しに際しては充分に調査を行いました。
棟の掛かり方によっては補強が必要になるからです。幸いこちらを切っても隣家に影響しない形状でした。
14坪の敷地な上に、切り離した隣家が境界線を越境している状態なため18坪程に収める必要がありました。本棚と設備とを納めるために図面上でミリ単位で調整を行い、無事プランが出来あがりました。
当初提示された予算はかなり厳しいものでしたので、当事務所としても新築では初めての分離発注で進めることになりました。幸い良い職人さんに恵まれ、大きなトラブルもなく、大幅にコストダウンすることができました。
玄関を入るとリビングとキッチン、勝手口の向こうはもう隣家です。
コンパクトな家ですが手洗い・トイレも2カ所あり、キッチンもL=2100確保できました。
左側の扉の向こうに洗面脱衣室、浴室があります。
狭小地のため採光は道路側のみとなります。
玄関からの光が大きなスリガラスを通してリビングに届きます。
反対側から見る。
本棚(パイン)・建具(シナ合板)・床(杉t=30)には建築主と設計者で荏油を塗りました。
1階洗面脱衣室。
洗面化粧台と収納棚などすべて大工さんに作って貰いました。
書庫の部屋 最初の画像の振り返りです。
階段下までびっちり本棚。
蹴込板の一部をポリカーボネートにして光が入るようにしました。
私は『ここに籠って本を読みたい』という建築主に同意なのですが、大工さんはじめ職人さんには理解できない様子でした。 クッション敷きつめてゴロゴロするには心地よい狭さだと思うのですが。
階段から明かりとりの蹴込板を見る。
2階には洋室が2部屋です。勾配天井で広々、棚はすべて大工さんに作って貰いました。
道路側の窓から光と風が充分に届きます。
2階にも洗面を設けました。