しじまの家

●設計事例の所在地: 
石川県金沢市四十万
●面積(坪): 
32坪
●建物の種類(大分類): 
住宅関連
●メインの画像: 
●メイン画像の説明文: 

■ 行灯照明階段
ダイニング、リビングから2階につながる階段に照明を組み込み、足元を照らすと同時に階段室全体を柔らかな光で包み込む。またこの階段は、家具として制作し階段下は、玄関から使いやすいように収納として機能している。

建てる前に依頼者が悩んでいた事・ご希望: 

敷地は金沢市南部に位置し有松しじま線から一本奥に入った閑静な住宅地にある。周辺には小学校や公園があり子供たちのにぎやかな声が聞こえてきそうな雰囲気がある。
40坪の南西角地の敷地(容積率80%)に家族4人が住み、来客を迎えるスペースを確保するには極めて条件が厳しい。諸条件を整理しながら狭小ながらも心豊かになる生活空間ができるかを試みた。
[条件の整理]
①明治築の祖父の家で使われていた100年近く経つ無双戸を再利用する。
②限られた床面積(32坪)の中で豊かな空間を構成する。
③シンプルでありながら特徴を持った外観デザインとする。

依頼者があなたに依頼した決め手: 

自邸であるため、ゆたかな住空間とはなにか をテーマに実験的な部分を含め設計した。

●建物の紹介文(依頼者のお悩み・ご希望を叶えるために工夫した点・採用した建材など): 

■ ゆたかな空間構成
玄関前には格子と吹抜によってできたアプローチ空間があり、住む人、訪れる人を心地よく迎えてくれる。床面積32坪の小さな空間を広く見せるためにダイニングとリビング、和室の床はレベル差-600とし階段の踊場+2600レベルにパソコンルーム、更に+1000レベルに寝室、子供室を設けている。寝室、子供室には多目的に利用できるロフトがある。部屋にレベル差を付けることで視覚的な変化と上下移動の変化によって空間に広がりを与えている。

その他の画像: 

■特徴をもった外観デザイン
 無双戸を印象づけるために格子をキーワードとした外観デザインとしている。
 アプローチ空間を包む西面格子は断面形状を台形とし西日や視線を和らげる効果が得られる。
 この台形格子は金沢の東山のキムスコをモチーフにしている。南面格子は断面25×50の長方形断面で
 内側のベランダの洗濯物干しの目隠しや日中の日差しを調整する。また内部からの光をやわらかく
 外部に発光させている。

■ 思い出の無双戸
私が大学生のころ明治築の祖父の家が名鉄羽島線の線路拡幅のために取り壊された。祖父の家には座敷を
仕切る間仕切として使われていた無双戸があった。(無双戸は縦桟を開閉することで換気できる仕組みに
なっている。昔の職人の技術に感心させられる。)祖父の家に泊まる時はいつものように子供たちは早く
寝かされ無双戸を介して大人たちの話し声が聞こえる。無双戸から座敷の光が柔らかくもれるている様子
は子供ながらにその印象が脳裏に焼き付いている。その思いから解体時にはこの無双戸を保管してもらい、
いつか利用できればと考えていた。17年ぶりに見る無双戸は痛みも少なく、新たな家の小さな和室と
リビングの間の間仕切に活用できた。建物の雰囲気は当時とは異なるが自分の子供たちにも私が体験した
思いを感じとってもらえたら幸いである。

リビング無双戸を開放(引き込み)したところ。奥には、タタミ部屋がある。

設計者

ユーザー 野々村建築事務所 野々村 慎二 の写真
オフライン
Last seen: 1ヶ月 1週 前
登録日: 2014-01-16 18:27