自然光がやわらかく回り込む家(吉村寿博建築設計事務所)

●設計事例の所在地: 
石川県野々市市
●面積(坪): 
35.99
●建物の種類(大分類): 
住宅関連
●メインの画像: 
●メイン画像の説明文: 

家族でゆっくりと過ごすために、明るく開放的で、落ち着いた雰囲気を持った住宅を設計しました。
自然光がやわらかく降り注ぎ、心地よい生活を送ることができます。
約36坪程の決して大きいとは言えない住宅ですが、天井高さの変化をつけたり、効果的な視線の抜けを
随所に計画することにより、数字では計れない広がりを体感することができます。

建てる前に依頼者が悩んでいた事・ご希望: 

ハウスメーカーのモデルハウス等、随分見て回られたそうです。若い施主さんで土地購入も含んだ費用だった為、住宅にもそれほど多くの予算を用意出来るわけではありませんでした。決して贅沢な要望があったわけではないのですが、お金をかけないと自分らしい家づくりが叶えられないのではないかと半ば諦めかけ、住宅を建てたいというモチベーション自体も落ちていたそうです。そんな時、たまたまセミナーで僕の話を聞き、共感していただけたそうです。

依頼者があなたに依頼した決め手: 

セミナーでは建築事例の説明の中で建築設計事務所の役割や、設計の自由度について説明しました。設計事務所というと、一般の方には敷居の高い印象しかないので、その先入観を少しでも崩したいという思いです。その話の内容や、僕の人柄に興味を持って頂き、後日連絡をいただき、お会いすることになりました。「決して安ければ良いといった安易な気持ちではなく、現実的な予算内で自分たちが可能な限り納得のいった家を建てたい。この一言につきます。」施主さんが最初のメールに書いてくださった言葉です。何とかこの気持ちに応えたいと思いました。

●建物の紹介文(依頼者のお悩み・ご希望を叶えるために工夫した点・採用した建材など): 

「心地よさ、自分らしさ」を強く求められていました。初期の打合せの中で出てきた話に、柳宗理がデザインした片手鍋の話があります。鍋の縁を歪ませるというちょっとした工夫が、調理における機能性を数段高めているという実例ですが、イメージの共有に大変役に立ちました。格好良さではなく、心地よさ、自分らしさを改めて考え直しました。老後のことも考えて、主な機能は全て1階にまとめ、2階は寝室と子供部屋(2室)、納戸をなるべくコンパクトにまとめました。旦那さんこだわりの屋外テラスも寝室に面して確保しています。1階はプライバシーを守りながらなるべく自然光を取り入れ明るく開放的な場とする為の工夫を凝らしました。LDKの両脇を光の溢れるスペースではさみこみ、自然光がやわらかく回り込んでくる空間としました。吹き抜けた玄関ホールは光に満たされ、透明な間仕切り越しに自然光がLDKを満たします。反対側の小さなスペースは、斜めの壁が自然光を受け止め、壁自体が発光しているかのような明るいスペースとなり、周囲に自然光を反射します。夜も心地よさが継続するよう、間接照明を上手く活用することで、やわらかい光に満たされた落ち着いた空間となっています。1階に水廻りがあることから、キッチン・食品庫・トイレ・サンルーム・浴室・ファミリークローゼットの家事動線がコンパクトにまとまっています。完成した住宅を振り返ると、施主さんらしさが随所に感じられる、最初に目指していた住宅ができたなという実感があります。施主さんと一緒に、粘って考え続けた、一緒につくってきたという実感があります。土地探しから随分時間はかかってしまいましたが、その分とても満足度の高い住宅が出来たと思っています。

その他の画像: 

1階LDKの写真です。吹抜けのある玄関ホールとは反対側のスペースから自然光が回り込んできます。斜めの壁が自然光を受け止め、壁自体が発光しているかのような明るいスペースとなり、周囲に自然光を反射します。

1階LDKの写真です。キッチンとダイニングのスペースは、天井高さを少しおさえて落ち着きのあるスペースに。ソファの置かれるリビング側は、徐々に天井高さも高くなり開放感が増していきます。回り込む自然光に挟まれているのがよく分かります。(但し、この写真は北側を向いている写真)

周囲の風景に馴染むように、控えめに抑えられたボリューム。やや緑がかったグレーで塗装した外壁。

設計者

ユーザー 吉村寿博建築設計事務所 吉村寿博 の写真
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Last seen: 2ヶ月 4週 前
登録日: 2012-07-24 10:27