野草と野鳥、クラフトを楽しむ木の家

●設計事例の所在地: 
埼玉県さいたま市見沼区
●面積(坪): 
138㎡(41.8坪)
●建物の種類(大分類): 
住宅関連
●メインの画像: 
●メイン画像の説明文: 

東に向いて、瓦屋根が高原の山並みの重なりのように連なっています。
屋根の軒先などの外周部分をガルバニウム鋼板で葺き、それ以外は瓦で葺く越葺きです。
瓦は深谷産のいぶし銀黒瓦で、耐久性が高く、手磨きのいぶしの輝きが時と共に
豊かな表情を魅せてくれます。
足元の草花、木の塀と塀越しの緑に包まれて、落ち着いた景観を造っています。

建てる前に依頼者が悩んでいた事・ご希望: 

台形に変形した東向きの敷地に、どのようにしたら快適な家ができるか
野草の庭をどのように造り、家と調和させるか
ご主人の趣味の木工と野鳥観察がうまくできるか、などがポイントでした。
地震のこともあり、耐震性を高めて、かつ日本の家のよさでもある風通しがよく
のびのびとした生活ができるかと言うことも、暮らし方として重要でした。
できれば、どの窓からも、外の草花を見られるようにしたいと言うご要望は
その後の設計に大きく影響しました。

依頼者があなたに依頼した決め手: 

木の家の設計監理の実績が多く、伝統的な木組みの家ができることに好感を持って
お問い合わせいただきました。
木の家と言っても、最近の外壁に金属板を張ったりするデザインが納得できず
木と塗り壁、和紙などの自然素材を外部やインテリアに適材適所で使えることも
共感されました。
変形した敷地で、しかも東向きですが、敷地の形に対応して雁行する間取りと
瓦屋根の重なるデザインが、合理的な設計でもあることに納得していただきました。

●建物の紹介文(依頼者のお悩み・ご希望を叶えるために工夫した点・採用した建材など): 

道路側の庭の南側から、家の周りをぐるっと回るように庭のゾーンを設定しました。
道路に沿って家をセットバックさせて、庭を確保し、徐々に雁行するプランニングとしました。
庭のゾーン設定から家のゾーンを決めると言う手法ですが、敷地に余裕がありましたので
家が圧迫されること無く、スペースが確保できました。
その庭と向き合う形で、和室、ひろま、ご主人の書斎兼工房兼野鳥観察室を設けました。
ひろまの天井を階段と共に2階まで打ち上げることで、欄間、トップライト、2階からの
採光などの工夫をして、東向きの採光不足を補いました。
内部空間の雁行をそのまま現した5層の屋根が、野草の庭と調和して、流れるような
外観と道路からの圧迫感のない親しみやすい景観をつくっています。

依頼者の声: 

木の家の完成後に、大きな木以外は、少しずつ植栽を自ら行いましたが
自分の思いの庭造りができました。
庭からひろまへ、2階へと風が通り抜け、庭と一体となった木の家の暮らしを
楽しんでいます。
日差しを浴びた庭からの間接光と2階からの光が時間の移ろいと共に
感じられ、キッチン、浴室からも庭が見れることで、ほっとします。

その他の画像: 

玄関からアプローチと見ています。
以前の古屋の瓦を保存しておいて、アプローチにご夫妻と共にセルフビルドで
敷き込みました。
デザインは瓦のウェーブを生かして水の流れを表現し、その淀みに車輪の
モチーフを入れ込んで、水車と水の流れを描きました。

玄関から北東の庭を見ています。
木の塀と植栽によって外界と仕切られています。
雑前とも見えますが、手を入れすぎない野草の自然な庭です。

玄関から北東の庭を見ています。
木の塀と植栽によって外界と仕切られています。
雑前とも見えますが、手を入れすぎない野草の自然な庭です。

ひろまから2階への階段、2階階段ホールを見ています。
階段はスリット階段ですので、奥の地窓の開閉もでき、風の通り道を
幾通りも設けています。
2階の部屋と吹き抜けを支える丸太の梁と大黒柱が空間を引き締めています。

ひろまからキッチン、書斎方向を見ています。
キッチンはクローズドキッチンですが、完全に区切らずに緩やかに繋がっています。
右側が書斎への入り口ですが、キッチンへもつながり、回遊式プランニングです。
座卓は掘り込んで、床暖房を入れていますが、将来はテーブルにできるように
床板含めて仕込んでいます。

キッチンは木のシステムキッチンと造り付け収納の組み合わせで
家全体と調和させています。
窓が二方向にあり、いずれの窓からも外の緑を見ることができます。

書斎は角に設けたため、二方向に窓を設けて、庭を見たり、鳥を観察したりできます。
足が下に下ろせるように座卓にしており、座る床は畳を敷いています。
壁面いっぱいの本棚は十分な収納量で、天井はにトップライトを設け
竹を置くことで、日差しを和らげています。

ひろまの南側に和室があります。
ひろまの北側の書斎の入り口まで、空間が一望できます。
玄関は部屋として区切られていますので、冬場も一体的に使えます。
正面右側の小さな窓は玄関との通風窓で、部屋と部屋の間の窓ですが
竹を組み込んだ菱形の窓です。
右側は玄関と一体となった土間で、庭作業の休憩所でもあり
ご主人のそば打ちの場所でもあります。

和室の北側です。
押入れの上には神棚を大工さんに造り付けてもらいました。
その左は同様に造り付けの仏壇です。
壁は珪藻土、天井はさわらの板です。

2階ホールからひろまを見下ろしています。
丸太梁、欄間まど、トップライトが見えます。
2階ホールの越屋根に設けたハイサイドライトの窓を開けると
気持ちよく庭からの風が通り抜けていきます。

設計者

ユーザー (株)木の家づくりネットワーク一級建築士事務所 山中文彦 の写真
オフライン
Last seen: 1年 5ヶ月 前
登録日: 2012-07-24 10:12