千里のコートハウス
中庭よりの外観。正面は階段室で、右(北)側は2階建てでLDKなどが入る主屋。左(南)側は平屋で、和室が離れのように置かれている。
とにかく「居住環境」、特に、「冬暖かく、全館に温度むらが無いこと」「夏は冷房によらないでもできる限り涼しいこと」が最大のご希望でした。
その他には、「本物の材料」「自然エネルギーの活用」などなど。
技術的なこともプラン上のことも徹底的に何度でも説明と議論を行い、その中でお互いの信頼感を醸成できたことだと思います。
私たちは良くコートハウス形式(中庭型)を採用しますが、住宅地や密集市街地ではそれが、安心して過ごせる庭とカーテンを閉めなくてもすむ窓を作るための最良の方法の一つだと考えているからです。
温熱環境に関しては、「床下暖房」「壁面輻射暖房」「室内対流の利用」など数々の技術を用いて、「暖かく涼しい」家造りのために最大限の工夫を行いました。
「期待以上に暖かい」と喜んで頂きました。竣工後10年以上になりますが、今でもパーティーに呼んで頂いたり食事をお付き合いさせて頂いたりのお付き合いが続いています。
角地の敷地の、メインストリート側からの全景
玄関 + 階段室
リビングダイニングの中央は吹抜で、上空に2階のブリッジが置かれている。右に見えるのは、エレベーターシャフト。吹抜は、夏期の「室内対流」による自然冷房の要となる。
吹抜の2階部分。夏の涼しさのため、2階の各室は吹抜に向かって大きな開口を持つが、全てに引き戸が仕込まれていて随時閉鎖することも可能。
室内の空気は、人や照明などに暖められ、自然に上昇する。夏は、その上昇気流が建物最上部の窓より排出され、その分の空気は、地面付近の比較的気温の低い空気が床下で更に冷やされて室内に流入する。エアコンによらない自然冷房の仕掛けだ。
暖房機は床下に置き、1階床下をまず加熱する。床下が暖かいので1階では全面床暖房の効果がある。更に、床下の暖められた空気は全ての壁の中を上昇し、ファンを設けたエレベーターシャフトを通って床下に戻る。全ての壁内を暖めて、輻射暖房を行う仕掛けだ。
キッチンはセミオープンタイプ。ここも床が暖かく好評だが、唯一の難点は床に野菜を転がせないこと。
中庭より見た夜景。正面は吹抜部分で、1階はLDK。
玄関夜景