土の教会
昭和中期に建てられた木造モダニズム建築の改装+増築です。 用途は教会+集会所+牧師住居。
既設建物に鳥かごを被せるような形で構造補強しています。
鉄網モルタル壁を取り除きすべて土壁(土蔵造り)にしています。大津壁という土に石灰を混ぜた仕上げです。
礼拝堂内部は、狐格子を用い、銅製のペンダント(照明器具)を吊るして、和洋折衷的な空間になっています。
既設の礼拝堂を建替えるべきか迷っていました。木造モダニズム建築でなかなかよい設計(日本電建設計)でしたので、「せっかくだから残しませんか?」と申し上げました。長い協議の上、信者さんの愛着もあり、改装することに決まりました。
ワークショップを行い「皆で作る教会」というコンセプトは快く賛同していただきました。もともと教会建築には皆の協力で建てたという歴史があり、とてもよい経験をさせていただきました。
周囲の建築関係者はすべて建替えるべきだと進言する中で保存再生+改築を提案したのは私一人であり、とても驚きだったようでした。このことで会議の流れが大きく変わったと聞いております。
地元の木材による伝統構法の手法を用いた建築です。 建具はすべて木製です。
断熱材は無農薬米の籾殻を薫炭処理したものを使用しています。 100%自然素材です。
アトピー等のアレルギーをお持ちの信者さんもいたので、誰でも安心して使用できるようにしました。
多くの信者さんがいますので、いろいろな意見がありました。褒め言葉もあれば、批判的な言葉も受けました。
場はできても人のコミュニティがどう育まれるのかは、別の問題です。
よきコミュニティが生まれる場になるよう努力したつもりですが、そうなるように願っております。
今後も見守りたいと思います。
ファサード。右側に礼拝堂が納まっています。
斜めの柱と内側の既設の柱が長スパンの梁を4点で支えています。
斜め柱にすることによって広場を広く使うことができます。
礼拝堂内部。
右側のドアを全面開放すれば、礼拝堂と広場が一体になり、大きな集会にも使えます。
礼拝堂と集会所の間にあるアトリウム。
積雪を防ぐためガラス屋根をかけた中庭です。
集会所。
既設の木造モダニズム建築を覆うようにして構造補強をしています。
木造ならでは改修方法です。
関係者も無関係者もともに集い、土壁作りをしました。
甲奴の左官屋軍団が指導してくれました。
土壁用の小舞竹造りワークショップを皆さんで行いました。
竹きり、枝落し、竹割りの作業です。
ガラス張りの礼拝堂は、夜間は建物全体が照明器具になります。
闇夜を照らす道しるべになっています。