杉並の家(天空光の家)
上部の吹抜より光が降りそそぐリビングダイニング
この住宅は、杉並の閑静な住宅地に建つ年配のご夫婦の住まいです。
周囲がアパートや民家で囲まれた旗笠状の敷地において
「陽の光を感じることができ、風通しの良いすまい」
「将来の高齢化に対応できる終の住まい」
とすることが求められた家です。
OZONE家づくりサポートによる3者コンペにおいて、提出案とともに設計者として選出されたものです。
■「採光と通風」の確保
旗竿地における採光と通風の確保というご要望に対して、家の中心の最も暗くなる場所に吹抜を設け、この吹抜の上から陽ざしを採り入れるものとしました。
吹抜上部に設けたトップライトは高断熱型、電動のパンダグラフ式で、上下昇降式の開閉ができるものとすることで、結露防止を図るとともに煙突効果も加わり、家中の風通しも良いものとしました。
■「高齢化対応」に対して
全ての生活が1階だけでも送ることができるように諸室を配しました。
それぞれ小さなスペースではありますが、リビングダイニングに面するセカンドリビングは将来のベッドルームに、たたみの間は介護する人の仮眠の場にもなりうるものとして計画しました。
また、生活の中心となるリビングダイニングの周囲をひと回りできる表動線と裏動線をつくることにより合理的な生活動線とし、上下階を吹抜けでつなぐことにより、家のどこにいてもご夫妻の気配が伝わるようにしたものです。
この家の建て主さんからは、竣工後も時折お手紙を頂いています。
以下はそれらの手紙に記されていた家に関する一文です。
「・・・・・北側の家が解体されて、はじめて我が家の全体(外観)を写真におさめることができました。写真を同封します。
改めてお礼申し上げます。二人暮らしの住まいとしては、むだのない快適な住まいです。・・・・・」
「・・・・・1年前の東北沖大地震を思い出しています。我家はヒビも入らず、物も落ちず、被害はゼロでした。しっかりとした家を建てていただいたお陰です。ありがとうございました。陽当たりもよく、コチョウランが毎年かわいらしい花をつけてくれます。・・・・・」
玄関の内外それぞれにベンチを設けた玄関です。
内部のベンチは上がり框より三和土側と室内側にまたがるようにベンチを設けています。
建物南側のセカンドリビングより、上部の吹抜から光が降りそそぐリビングダイニングを望む。
リビングダイニングから大きなトップライトを設けた上部吹き抜けの見上げ。
リビングダイニング脇に設けた畳の間。
日常は洗濯物をたたんだり、奥様がお昼寝をしたり...という場所です。
来客時には襖を閉めて物が隠せるように、というご要望に応えました。
キッチンから、キッチン脇の食品庫を望む。
食品庫の奥には、万一の際の避難口ともなる勝手口を設けています。
2階、吹き抜け越しに南側のご主人の書斎兼仕事場を望む。
旗竿地のアプローチと建物外観。
アプローチより玄関を望む。
右手は自転車置場。
この家(天空光の家)の断面図です。
旗竿地における光の採り入れ方、通風計画が特徴の家です。
屋根の頂部に設けたパンタグラフ式のトップライト写真です。