YKK古御堂守衛所
黄色いメガホン状の庇が守衛所の存在を際立たせ、来訪者を導きます。
撮影:吉田明弘
北風から入構チェックを受ける人を守りつつ、内部の職員からゲートへの視認性を確保することなど。
以前より数々の施設設計を手掛け、信頼関係が築かれていたこと。
富山県に本社を置く国際的企業の工場入り口にある守衛所です。車での外来が多い施設の性格から、内側を黄色く塗装したメガホン状の庇によってその存在を確認しやすくすると同時に、内部からゲートが見える視認性に配慮しました。冬季の厳しい風から入構チェック時の受付空間を守る風除けとして大きなガラスのスクリーンを特殊な金物で固定することで、存在感を消すと同時に視線の妨げにならないようにデザインしました。鉄筋コンクリート構造の特徴を生かして、受付カウンターから伸びるスリットによって庇に亀裂をつくり、視野を確保すると同時に意匠的な緊張感を作り出しています。わずか15坪の小さな建物ですが、機能がそのまま洗練された意匠となることを目指したもので、亀裂のある大きな庇構造など構造的な挑戦も行っています。
大自然に開いた別荘など、同様の手法の応用できると考えております。
JCDデザインアワード2008入賞
工場の顔ととして、企業理念に合致した守衛所になりました。
夜景。夜でも存在感があり、その機能を発揮します。
撮影:吉田明弘
シンブルで機能に素直な形態ですが、シンプルでモダンなデザインです。庇部分は躯体を極力薄くするよう構造上工夫し、ステンレスの鏡面仕上げでエッジを際立たせています。ガラススクリーンは存在感が無くなるよう特殊な金物で固定されています。
撮影:吉田明弘
側面は庇のスリットによって正面では想像できない軽快な姿をしています。正面に対してグレーに塗られた庇部分とコンクリート打ち放しを対比させています。一見単純に見えますが、鉄筋コンクリートの性質を最大限発揮した複雑な形態となっています。しかしそれは機能の素直な表れでもあります。
撮影:吉田明弘