バイクコレクションハウス
40台もあるバイクのコレクションを収容しメンテナンスをする為のスペースと、祖母、夫婦そして子供達と供に緑いっぱいの自然に囲まれながら趣味を満喫して暮らす住まい。高低差のある敷地、その地形の条件を活かした配置計画とプランが、風景の中に融け込み、ときには抜けていくような広がりのある住環境を創り出している。1階ガレージ部分と交差するように設けた2階の住居部分は、LDKを中心に各個室へとアクセスし、どこにいても廻りの自然を感じながら過せる様配慮した。自然に囲まれながら3世代が暮らすこの家が居住性豊かな空間によって、互いを思いやる心を育て、ともに成長していく、そんな豊かな住まいになる事を楽しみにしている。
「若い頃から30年間好きで集めたバイク40数台。それを収容しメンテナンスを愉しみながら、年老いた母親(80歳)、家族とともに暮らしたい。」との希望をかなえたいとはいえ、40台のバイクを集められるスペースに適した場所がなかなか見つからず、結果、母親が住んでいたこの土地に隣地を買い足して建てる計画となった。結果良しですが。
施主が「ガレージライフ」「ガレージのある家」を購読されていたこと。その雑誌に私の作品が7,8回ほど掲載されていたので気にして頂いていたこと。2年近くお母様、施主と3人で土地を探し廻った中で、たくさん話ができた事。
なによりもお母様(80歳)が私を気にいって頂いたのがおおきな要因であった気がします。施主にとって自分以外の誰かに賛同されることがいかに大事かという事かもしれません。
住宅としては特殊なケースだと思います。モーターショップと間違われそうな。当初は自然豊かなこの土地で暮らすことに興味が無かった様です。便利な街中で中古のビルや倉庫付き住宅をリフォームしてなどとも考えておられたが私が一つ一つチェックさせていただきました。デザインやプランについてはイメージされていたものが提案したものとほとんど一致していたので、土地が決まってからは大変さは殆ど無かった。大きくは土地の選びかたが要因であった気がします。また、私たちもデザイン・プランに先走りせず、施主と一緒に寄り添いながらイメージを共有し進めていくのが大切だとも思います。
施主からは「思っていた以上のものが出来た。なによりもガレージは広く、好きなバイクに囲まれて過ごす毎日は申し分ありません。夜、皆が寝ていてもベッドからガレージに出入り出来るルート等も考えてもらってありがたく思います。アプローチコートはみんなで集うのに十分だし、2階のLDKは広く廻りの自然の四季を満喫しながら過ごしています。特に母親はリビングに繋がる和室で寝起きしながら、孫たちの世話をして楽しんでいます。ここまで希望以上のものになったのは東さんとの出会いがあったからこそだと思います。出会ってから、出来上がるまで3年間、あきらめかけた時も励ましてくれたり、いつも忘れずに付き合っていただきました。ほんとに感謝です」
このお話をいただいたとき思ったのは、施主に媚びないこと、自分なりにその時々のその本質をできるだけ見つけ、伝える事、このひとつひとつの行為が信頼関係を生み、良い住まいが出来る事につながるのだと思いました。
敷地内通路兼オープンコートの夜景。
バイクガレージ。中央にある朱色の鉄骨階段は2階ベッドルームへの階段。奥にはメンテナンススペースも。
施主が最も欲しかったメンテナンススペース
住宅部の広々としたエントランスホール。
スリットから見える緑が心地よい階段室。
2階LDK。出来る限り自然を享受できるよう設えた大きなサッシ開口部。
リビングむこうにはルーフテラス。
壁面いっぱいの収納があるベッドルーム。収納の裏には1階ガレージと行き来できる階段がある。
リビングから広縁を介して母様の和室がある。
差し込む陽射しと緑が気持ち良いバス&パウダールーム。