ウキバコ
三重県の北東部、小高い丘をけずって宅地開発をした住宅地が敷地です。建築主は分譲された連続した二区画の土地を手に入れ、ひとつの敷地として使いたいとのことでした。この住宅地には建築協定があり、敷地と道路のあいだには、あらかじめ花壇や植木がありました。
敷地の輪郭はほぼ正方形で、東側と北側で接道する角地です。そして住宅地全体は北に向かって傾斜していて、北側道路と西側の隣地は低く下がり、その高低差を吸収する法面がありました。一方、南側にはすでに住宅が建ち並んでいて、ごく普通の住宅地の風景をみせていました。
道路と敷地の高さがそろっているのは南東で、そこが駐車スペースと玄関アプローチになりました。リビングや水廻りは、敷地の北側に法面からせり出すように黒いボックスに入れました。リビングやダイニングは天井いっぱいの開口を設け、太陽の光を取り入れるとともに、南側の芝生庭と一体とし、四季折々の変化を味わえるようにしつらえました。
一方、二階の寝室や子供室は敷地の東側に浮かぶ木のボックスに入れ、両サイドの開口部から朝日と夕日を取り入れています。プライバシーを守りながらも、開放感を保ち、一日の時間のサイクルが自然に感じられることをねらいました。
混みあった住宅地の中にあって、プライバシーを確保しながらも、できる限り開放的に自然の要素がとりいれられるように、配置と空間の方向性をコントロールした家です。
少し高低差のある敷地。駐車スペース、建物の位置及び庭の全体レイアウトの合理性です。
また外観もほかには無いインパクトのあるデザインにしたいとのご希望でした。
数回に及ぶ計画プレゼンテーションと、コミニュケーションのとりやすさ、などだと思います。
設計期間を長くとりました。建築主さまに、デザインや使用材料を十分説明し、納得したうえで設計をまとめました。
とても満足していると言われ、建築雑誌や建築賞にどんどん応募してほしいととのことでした。県内の雑誌掲載と三重県建築賞に応募いたしました。