地域に根ざした地域交流空間「豊栄くらす」
「豊栄のまちを再び元気にしたい」という理念を共有させた地元の企業が一丸となり、この中山間地に新たな価値を発見し次世代へつなぐプロジェクトとして、かつて商店街の賑わいの中心だった旧街道沿いの築80年の古民家「栄屋百貨店」跡を地域交流拠点「豊栄くらす」として生まれ変わらせました。
・築80年以上の古民家であるため、その耐震性の確保や外観などのイメージの刷新。
・「ただ建てる」のではなく、どうやったら地域に密着した施設づくりになるかを提案。
・「古さ(懐かしさ)」を残しながら、若い人も楽しめる「新しさ」の演出。
建築単体から考えるのではなく、様々な角度から一番良い答えを出していくという弊社の設計ポリシーにマッチしたから
ここでは、関わる全ての人が地域資源の価値を再考するために「資源の再配置化」をコンセプトにしており、建築家は、段階的に地元の小中学生や大人と意見交換を繰り返しながら、施工業者と一緒になって住民にも実行できる建設プロセスを構築しています。ここで出た廃材の利用方法や施設の将来像や新しい活用方法の提案→実行に関わることができる「地域接続型」の再築計画が実践されています。この施設は、産直販売や情報展示など様々な用途で活用できるような「まちの玄関」と、地元農家で育った野菜や果実をその場で調理できる「まちのレストラン」となる調理エリアからなり、2階の床をほとんど撤去することで2階窓からの暖かな自然光を取り込み、さらに既存躯体の中に挿入した厨房ボックスは、新しさと古さを融合させるためあえて新しい無垢材で包むことで、利用していただく全ての世代の人に懐かしく、居心地の良い空気が緩やかに循環する開放的な地域交流空間を創出しています。今後、第3期として2階の一部を民泊に改修し新しいステージへ進む予定です。
改修前(外観)
改修前(中の様子)
2階の床を撤去し出現した明るい吹抜空間
交流スペース「まちの玄関」
新しい無垢材で包んだ厨房
併設したレンタサイクル空間
眠っていた古いタイルを再生した洗面所
奥行きを生かした古材を利用した長いカウンター