あぷりこっと保育園 エミタス久本

●設計事例の所在地: 
神奈川県川崎市高津区久本
●面積(坪): 
620.88
●建物の種類(大分類): 
その他
●メインの画像: 
●メイン画像の説明文: 

「あぷりこっと保育園 エミタス久本」は定員70名の保育園です。敷地は川崎市高津区溝の口駅ににほど近い丘陵(多摩丘陵)東端部から駅のある平地に下る斜面地に位置しています。前面道路は丘陵上の住宅地から下の平地にある駅へ至る通勤ルートになっており、通勤途中で子供を預けることができる利便性があります。さらに北側に道を挟んで園庭として活用できる公園と結婚式場の森が眼下に見渡せる絶好のロケーションです。

しかしこの敷地には大都市近郊の丘陵地が抱える以下の大きな欠点がありました。

・間口が狭く奥行きが長い狭小地。

・奥行き方向中央が極端に括れた変形地。

・南北で8mのレベル差がある。

これまで建てられてきた先進的な保育園デザインの課題は狭小地やにおける保育環境の提案や十分な敷地面積におけるゆとりのある自由な保育環境の創造でした。しかしここでは狭小・変形・レベル差(8M)という三重苦を抱えており、許認可保育園に求められた基準を満たす必要があるために多くの問題を解決する必要がありました。

そこで生み出された結論 が以下の3つのコンセプトです。

1.伝統町家に学ぶ配置構成=「通り庭のある保育園」

2.緑に面した傾斜地を効果的に利用した断面構成=「子供達の天空の城」 

3.数や活動の変化に応じてフレキシブルに対応可能な保育室=「トイレが中心」
       

建てる前に依頼者が悩んでいた事・ご希望: 

・間口が狭く中央がくびれ、8Mもの高低差という敷地の三重苦にたいして許認可保育園の基準を満足すること。
・高低差による眺望を最大限に利用した「子供達の天空の城」の実現
・高層になることによる上下階の機能的配置と「気配が伝わる」計画。防犯への配慮

依頼者があなたに依頼した決め手: 

高齢者施設での複数の建築賞の受賞や美しい建築デザインによって社会的に評価されている点。
「おもしろいアイデアがどんどん出ますね」と打ち合わせ初期で言われました。
「建物の基本的なプログラムを未来につながる形に変えていくところが面白い」と嬉しい言葉もいただいております。

●建物の紹介文(依頼者のお悩み・ご希望を叶えるために工夫した点・採用した建材など): 

・狭小で変形した敷地形状に対して日本の伝統町家における「通り庭」のコンセプトを導入し、廊下自体を活動的なスペース(イベントや展示、読み聞かせコーナーなど)とした。
・急斜地の特性を利用して地1階に職員休憩室兼地域交流スペース(コワーキングスペース)を設けています。同一施設の別の空間、時間に異質な交流が生まれることで”あたらしい何かが生まれる事”を期待しています。下最下部に身体障害者送迎車車庫などを集約し、隣接する公園に連絡する勝手口を設けています。
・トイレが部屋の中心にあり「ぐるぐる回れる」保育室を提案しています。中心にあることで保育士の目が行き届き、天井の天窓から太陽光を保育室に届け、換気をうながす環境装置ともなる新しい提案です。

依頼者の声: 

依頼者からは以下の嬉しい言葉をいただいております。
「内覧会で100人もの方に来ていただいた。予想以上の反響です。」
「実際に働く保育士さんが面白い空間に大変喜んでいます。」
「空間の色使いが面白いです。あまり派手すぎず、子供達や作品が彩りを添える考えに共感しています。」

その他の画像: 

南側外観。傾斜地のためこちらは2階建に見えます。安価なALC板を市松貼りして保育園のイメージをつくりました。螺旋階段は狭い敷地を有効利用するために建物に引き込まれて一体化させました。

保育室(3,4,5歳)トイレが中心「ぐるぐる回れる」保育室です。可動家具によって仕切ることが容易です。またトイレ上部の天窓から日が差し込み行灯のように見えます。

食事室:食育をテーマに隣接してガラス張りの配膳カウンターがあります。勾玉型の特注家具はいろいろなレイアウトが可能です。窓から森を見下ろします。

職員休憩室・地域開放室:保育園から切り離された下層階(地下)にあります。コワーキングスペースとして放課後学習や父兄会合など様々な使い方が可能です。

設計者

ユーザー 株式会社ヨシダデザインワークショップ 吉田明弘 の写真
オフライン
Last seen: 4日 3時間 前
登録日: 2015-03-16 14:11