ふうらいぼう(夫婦と猫の家リノベーション)
東京都内にお住まいのご夫婦(設計当時50代)と3匹の猫が、「プチ田舎暮らし」を実現するために、東京郊外に家を買われ、それを全面的にリノベーションしました。
築20年の約35坪の家。約20年前に開発された住宅地に建つその家は手ごろな大きさの庭を持ち、陽あたりのとてもよい家。しかし「漠然とこれではない」と思われたそうです。部屋数(4LDK)はあるけれど、それゆえに窮屈で「こんなに部屋数いらない。できるなら減築したいくらい。」と言われました。また部屋で区切られた家の中は、空気の流れが悪く、とてもカビっぽい家でした。工事前は、家に入るのにマスクが必要だった程です。
独立した部屋ばかりで家全体としての関係性もなく、まるでアパートのようでした。キッチンは一番北側の囲われた部屋で「寂しい感じ」も気にされていました。
施主が言われました。
「(私達からすると)一級建築士というのは、医者に対する感覚と同じで『先生』なんですよ。そして〈巨匠〉みたいなイメージがあって問い合わせするのもこわごわ。ましてリフォームの仕事なんて受けてもらえるのか?と思っていました。
でも志田さんのホームページは、そんなに怖そうではなかった(笑)。最初のメールで、(私達が)何を望むのかを聞こうとしてくれたんです。だから「伝えたい」と思いました。実際に会ってみると「話を聞いてくれそう」と思えました。志田さんは営業営業してないし、感覚が丁度いい。」
家の大きさはそれなりにあるけれど「個室主義」とでもいうような、ひとつ部屋を移動するとぽつりと寂しくなるような家でした。空気の流れも悪くカビくさい。ともかく”空気”も”気”も「流れの悪い」家でした。
1階にあった個室の壁を取り、リビングダイニングとつなげ、キッチンを、以前のダイニング部分に移動。その結果、リビングもキッチンも、明るく風が気持ちよく流れるようになりました。リビングと”いっしょ”のワンルームになったキッチンは料理をしていても寂しくはありません。
部屋の入り口は、大きなガラス引き戸にしました。以前は薄暗かった廊下や階段にも、ガラス戸を通して南からの明るさが広がるようになり、そして、家中”風”が抜けるようになりました。
南から陽が燦燦と入るリビングは、まるで縁側のような”ぽかぽかした場所”に変わりました。
この家の名前は「ふうらいぼう」と言います。漢字で『風樂房』と書きます。施主がつけられました。家の中を吹き抜ける「風を楽しめるところ」という意味です。そんなふうに移ろう風や光や季節を楽しまれています。
この家をどんなふうに思うか聞きました。
「居心地がいい。居心地とは・・・リラックスする 解放感 明るさ 風とおし。それから、 距離感がちょうどいい。丸テーブルにしたけど、距離感がいいんです。ちょうどいい。だだっ広い家は居心地が悪いです。部屋に対するバランスの感覚。天井が高いわけではないけど、圧迫感もない。ドアを天井までにしているけど、そうゆう効果なんですかね?」
この家に住み始めてご自身の中で変わった事などあるか聞きました。
「人生が変わっています。・・・結果的に楽しくしている。一日外に出なくても楽しい~。”住む”というのは、"ずっとうれしく住める" という事だと思います。家を買うときにはわからなかった事です。
畑もはじめたし、いろんな事を始めました。知らない土地に移り住んだけど、想像以上になじめてます。もちろん、都会暮らしがあったからこそでもあるけれど。
それから、この地域の中では ”しゃれてる” というのが 誇らしいんです!家の外側は他の家と何も変わってないのに、機能的にも、気持ち的にも、住みやすくなっています。
住宅の性能というより、住み方を見直して、文句を言いつつ、それも楽しい~」
柱から向こうは個室があったところ。間仕切り壁をなくし、L型のLDKになりました。
ダイニング
キッチンからダイニング方向
ダイニングからキッチン方向
リビング(ダイニング)に設置したペレットストーブ。
1階の床はキッチン以外すべて杉板15mm。
玄関。左のガラス引き戸はリビングの入り口。正面のガラス引き戸はキッチン部分への入り口。内部でぐるぐる回れます。
階段はカーペット張りから木に張り替えて気持ちよくなりました。
階段から玄関方向