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●設計事例の所在地: 
東京都
●面積(坪): 
57
●建物の種類(大分類): 
住宅関連
●メインの画像: 
●メイン画像の説明文: 

浅草寺から程近い隅田川沿いに建つ築16 年の集合住宅の改修である。
南向きに 3 つの窓があり、
その開口部に伴って東西に延びる長方形の平面となっているため
南北の奥行きは浅い住戸である。
領域を複数設け、遠近感にズレを生じさせ、
『広がり』という曖昧な感覚をぼかしたいと考えた。

例えるなら、 単層のブラウニーではなく、オペラ(層状のケーキ)の
ような舌触りの異なる層によって豊かな味の変化を通じて、
味わいの広がりを楽しむように領域の複層化による空間の広がりの獲得を目指した。

南側の光の入る開口部側は、明るく肌理の細かなものにて設え、
北側の奥の空間では少しずつ色に深みを与え、ラフな設えとする。
光をより強調させ、光を受ける面に差異をつけることで、
明度と肌ざわりの異なる領域を多層化させている。

●建物の紹介文(依頼者のお悩み・ご希望を叶えるために工夫した点・採用した建材など): 

仕上げの単位を、リビング・ダイニング・キッチン・寝室等の
室毎とするのではなく、開口部からの距離という単純な線引きとすることで、
どの領域においても同じ遠近感を共有できるようにしている。

遠近感というものは、スマホやタブレットが日常的に
使われるようになったことにより、
既に随分ズレてしまっているのではないかと感じている。

親指と人差し指で画像を広げ、
手前も奥も関係なくズームすることが普通になっている。
無意識に異なる解像度の画像を行き来しているが、
そのような領域の往来を、
室内空間で生じさせることで、
“ズレた遠近感”を内包した現代的な奥行きの空間化を試みた。

その他の画像: 

設計者

ユーザー Agio architects studio 住野 裕樹 の写真
オフライン
Last seen: 10ヶ月 9時間 前
登録日: 2023-07-19 19:10