(株)デンサン社屋
JR土浦駅に近い霞ヶ浦のほとりに建つコンピュータ・ソフトウェア会社の本社ビルです。
クライアントのコンピュータ・ソフトウェア会社は、これまで親会社のビルの1フロアで業務を行っていましたが、手狭になったため隣地を取得して本社ビルを計画することとなりました。親会社のビルの設計者は既に引退していたため新たに設計者を探していたようでした。
クライアントの親会社の社長が高校の野球部の後輩でした。新年の会合の後で声を掛けられ「子会社の新社屋計画があるのですが誰か設計できる人を知りませんか?」と相談されたため「私設計できますけど(笑)」と言って後日顔合わせをお願いし「先輩後輩抜きに提案だけでもさせてください」とお願いしてプレゼンをしたところ、クライアントにも気に入って頂け依頼を頂くことになりました。
コンピュータ・ソフトウェアの開発・運用・技術支援を行う企業の本社として、JR土浦駅に近い霞ヶ浦のほとりに新社屋を計画しました。霞ヶ浦の浸水対策として、約10年前に建てられた隣地のビル同様1階床レベルをGL+1.2mに設定しました。
1階にはセミナーやイベントだけでなく、スタッフのリフレッシュ空間としても利用可能なフリースペースを設けました。設計室は2階にまとめて計画し、ハイサイドライトから光を採り入れることで3方を隣地に囲まれた条件でありながらも明るい執務環境を目指しました。
鉄骨造の特性を活かしてフリースペースと設計室は約200㎡の無柱空間を実現しながらも、屋上は設備機器スペース以外を片流れの大屋根とすることでコンクリート量を減らし建物の軽量化を図っています。
2階建ですがバリアフリー仕様のエレベーターを設け、1階にはオストメイト対応の多機能トイレを計画するなどノーマライゼーションへの取り組みも反映させています。
竣工以来大切に使って頂いています。親会社を含めたグループ会社の全社員対象の研修や会議等にも1階のフリースペースを活用して頂いているようで「これまでこのようなスペースがなかったので助かる」との感想をもらいました。外壁の一部と軒裏に天然木材を使用していますが、これから経年変化で落ち着いた色合いに変わるのが楽しみです。
ファサードはALC下地の上に塗装鋼板です。スチール製のメンテナンスデッキの無機質な風合いと軒裏の天然木を対比させています。
エントランスの風除室にも天然木を採用しています
エントランス正面にエレベーターと廻り階段を配置しています
1階フリースペース。
2階メンテナンスデッキ
2階オフィスフロア
片流れの勾配屋根を活かしたハイサイドライト
2階廊下と階段
夜景
1階デッキ下に照明を組み込んで植栽を照らしています